反社とJK【灰谷蘭】

49. ページ49

･








傷はもうほとんど見えなくなって、2人に無理やり食べさせられていたら体重も3キロ増えた。


お風呂だって一緒に入ることあるし、ご飯だって一緒に食べるし、夜は一緒に寝るし、でも、関係は何も変わらないし。








｢蘭ちゃん、眠い？｣





｢別に〜？｣





｢私は眠いよ｣








リビングでくつろぐ蘭ちゃん。

隣でぼーっとテレビを見ていたけど、そろそろ限界でそう伝えてみる。



ハハッて笑って、じゃあ寝るかーって、寝支度を始める。


テレビを消して、机の上を片付けて、そんな蘭ちゃんを見ながら無意識に目を瞑る私の手を引く。








｢赤ちゃんだなぁお前｣





｢違うよ。お姉ちゃんだよ｣








半分くらい寝ぼけてた。


でも、そう言ってしまってから、ハッとする。

私はもう、お姉ちゃんでもない。



鳴き声ばかりを聞いていた可愛い妹とはもう一生会わない。

あの子を守る理由は、もう何も無い。




それなのに、無意識に姉という言葉が出て、少し焦った。








｢･･･A？｣





｢蘭ちゃんは、気分が変わったら、やっぱり私を捨てちゃう？｣





｢捨てないよ｣





｢･･･ほんとかなぁ｣





｢捨てられてぇの？｣





｢んーん。捨てないで。傍において｣








私以外の人を拾わないで。


私以上に大切な女なんて作らないで。


ずっと一緒に眠って。





時計の音がする。


蘭ちゃんの匂いがする。




子供の泣き声が聞こえる。








･

50.→←48.

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す