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「ご飯、食べよ」
「とりあえず熱計れ」
「カレー、あっためるから」
お願い、そんな気持ちを含んだ目で彼を見るけど、春千夜さんは私の手を引いて体温計を取りに行く。
言われるがままソファーに座って、体温計を脇に刺した。
ピピピッて電子音とともに私の脇からそれを抜き取って、小さなため息を1つ。
揺らさないように私を抱き上げて、最近一人で寝ていたベッドに下ろされる。
ご飯の準備がしたかった。
体調の悪さなんてどうでもよかった。
私がこの人にできることは少ない。
もしかしたら、他の女の人にもされているかもしれないけれど、私のできる精一杯を上げられなかったら、そう考えるだけでどうにかなりそうだ。
私が・・・っ私に、させてよ。
「泣くなって。どーした?風邪ひいたら子供みてぇだな」
優しく笑って、頬を撫でる。
まるで割れ物を扱いかのように、まるで愛おしいものを見るかのように。
そういうところが余計に、私にあなたを諦めさせてくれないんだ。
「寂しかったかァ?」
「・・・っごめんなさい」
「あー?」
「せっかくっ・・・帰ってきてくれたのに、私っなんにも出来なくて・・・っ」
嗚咽を何とか噛み殺して、春千夜さんの服の裾を掴んで謝れば、そんな事かよと笑ってくれる。
ずるい、ずるい、ずるい。
好き。
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@じゅら - 主さんの作品では多分初コメです!失礼します!前からお気に入り登録をしていて、これで読み返すの3回目ぐらいです笑 でも何回読み直してもやっぱ神です!最後の春ちゃんが「こら、体拭けクソ」って所が好きです!これからも頑張って下さい (12月7日 23時) (レス) @page47 id: d21974408e (このIDを非表示/違反報告)
蘭奈莉逢瑠悲@カナリア:ルカ(プロフ) - 読み終わりました!最初ドキドキしてたけど,やっぱ神作だった…作者様ありがとう!! (11月29日 6時) (レス) @page48 id: 4d14879615 (このIDを非表示/違反報告)
3-114 36(プロフ) - はなさん» ありがとうございます!読めるようになりました!最高です! (2022年9月26日 1時) (レス) id: 4e0064ee9d (このIDを非表示/違反報告)
はな(プロフ) - 3-114 36さん» 報告ありがとうございますー!こちらのミスで見られなくなってました。すみません。今は見れると思いますので、ぜひ呼んでやってください! (2022年9月25日 18時) (レス) id: 544f54aa0d (このIDを非表示/違反報告)
はな(プロフ) - ワンロボさん» コメントありがとうございます!!谷口先生はボコボコです♡最後までお付き合い頂きありがとうございました! (2022年9月25日 18時) (レス) id: 544f54aa0d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:はな | 作成日時:2022年3月18日 16時