あなたは浮気性 【三途春千夜】

46. ページ46

･









｢･･･え、は？｣





｢･･･やっぱり、迷惑？｣









理解が追いついていないのか、はたまたその事実に恐怖でもしてしまったのか、春千夜さんが顔を歪める。



その表情に、私も少し、まゆが下がる。








反社であると知った上で、子供がいますなんて、迷惑なんだろうなぁ。



そんな悲しみと、相手に、お腹の子供を迷惑と思われてしまったことのショックで胸が痛む。










｢そうじゃねぇ｣





｢え？｣





｢そうじゃなくて、ほんとに、俺の子なんか｣





｢他に、誰かいるとでも？｣





｢俺から離れてからできた男とか｣





｢いない｣





｢一緒に帰ろうとしてた教師とか｣





｢ありえない｣





｢･･･灰谷の兄弟に寝盗られたとか？｣





｢さっき初めて会ったんだけど？｣










他の男と関係を持って欲しかったんですかね？と聞きたくなるほど私を疑ってくる。


いや、これは、疑いの目じゃないか。




どちらかというと、安心した目。






私が家を出てから、追いかけてこなかったのは、私が、それで幸せだと信じるしか無かったからで、他の人と普通の家庭を生きて欲しいと、本気で思っていたからなんだと、よく分かった。










｢こん中に？｣





｢うん｣





｢俺とお前の？｣





｢うん、生きてる｣








はぁっと、大きくため息を吐いて春千夜さんは私の肩に頭を預けた。


もちろん、重みがないのは、彼が私に配慮してくれてるからだろう。











それから耳元に聞こえたのは、愛してるの言葉。











.

47.→←45.

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す