私たちに愛はない【灰谷蘭】

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次の日、やっぱり彼はいつも通りだった。





つまり、彼の部屋で起きた私は、一人ぼっちだった。





予想していた朝だから、特に何も思ってない。








昨日の夜は朝ごはんなんか作ってないから、彼は何も食べずに行ったのかな。









辛うじて、ショーツと彼のTシャツを着せられている自分を見て、いつ服着せられたんだろうと疑問に思う。




まぁ考えたところで寝ている私が覚えてるわけないんだけど。








起き上がって、散らばった下着やら服やらをつまみ上げながら、ここで何人の女と寝たんだろう、と考えてしまった。








そんなの数えきれないに決まってる。





そんな数えきれない女の1人に、自分もなったんだと自覚する。








まぁ別に、1回目もただのホテルだったから特別なことは無いんだけど･･･。







｢朝ご飯｣






ボソリと呟いて、考えるのをやめた。






なんだか虚しくてダメだ。




彼は私の旦那だけど、私と彼は何も無い。







付き合った期間もない。



互いのことはほとんど知らない。



会話もスキンシップもない。





これが私たちの普通。




何かあったらいけない関係。





適当に髪を結んで、昨日の衣類を洗濯機に突っ込んでお風呂に入った。






頭を冷やさないと。




ずっと家にいるからきっと、おかしくなってるんだと思う。





久しぶりに見た彼の整った顔が、何故かずっと頭に残る。








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