消える服と増える気配 ページ26
「ところでお前さあ」
依頼人が来るまでの間、俺たちは事務所で待つことしかできない。
その暇な時間を潰すには雑談をするのが一番だと、俺は思う。
霊幻に声をかけられた俺は、茶をいただきながら「ん？」と返事をする。
「最近そればっか着てるよな」
霊幻の言うそれは、例のファイティングスタイル。
白いワイシャツに紺色のセーター、下にスリムパンツ。
高校生の時にもこんな格好をしていたっけかな。
同じような服は何着もあるので問題ない。
が、おかしいのも確か。
「他にも普通の服はあったはずなんだけど
最近これとジャージと装束しか見かけないんだよね」
「霊の仕業じゃねーの？」
「常にしっかりした結界張ってるから並大抵の霊は入れないはず。
相当な霊だったとしても服が無くなるだけとかおかしいし
多分人の仕業だと思うよ」
俺が真面目に解説したが霊幻の反応は「ふーん」……これだけ。
話す相手を間違えた。
それでも多少の時間は潰せた。
その証拠に事務所に向かってくる気配が一つ……いや、二つ。
ん？ 三つになった。
……え？
「何で増えて……？」
「どうしたー？」
俺の表情に笑みが消え、それに気づいた霊幻が呑気な声を上げる。
ああ、知らないって良いな。
増えていく気配に驚き、焦りを感じながら。
事務所の扉がゆっくりと開いていくのを眺めていた。
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雨散々(プロフ) - マスヲさん» コメントありがとうございます。私の作品で笑っていただけて何よりです。これからも笑いをとれるように頑張ります(笑) (2017年2月4日 10時) (
レス) id: 2f2c9aedea (このIDを非表示/違反報告)
マスヲ(プロフ) - コメント失礼します。めちゃくちゃ面白かったです！！久々に笑いました(^^)更新頑張ってください！ (2017年2月3日 22時) (レス) id: f55d281746 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：雨散々 | 作成日時：2017年1月20日 19時
