届かない拳と裏番長の正体 ページ22
現在「もぶどなるど」店内。
先ほど仲間になった不良と一緒に、
細切りにされた芋を揚げただけの料理を黙々と食べている。
「そういえば黒酢中って結構不良居るんだよな？
強い人たちと一緒に居なくていいのか？」
「俺たちは…んぐ。ひっひひほほはひほはひはんへ！」
「飲み込んでから話せ、何言ってるかわからん」
俺が食べてるのが美味しそうだという理由で自分たちも買っていたが
口の中いっぱいに「えくぼばあがあ」を詰め込む姿は中学生そのものというか……。
ちょっとばかり微笑ましい。
「俺たち一匹狼の性質なんで、平気っす」
「５人で群れててよく言えるな」
「う……でも上の人だともっと群れてるんで
俺たちみたいなのは一匹狼っつっても過言じゃないっす」
「ふーん……どうでもいいや」
「でも……本当に一匹狼なのはテルさんだよな」
「あの人は次元が違うって」
「……誰？ てるさんって」
神社の近くにそんなあだ名の爺さんがいたっけな。
あの人じゃないことは確かだろうけど。
俺が質問するとビクリと肩を揺らす不良たち。
その後ひそひそと話していたがやがて話がついたのか
例の一番背の高い不良が話し始めた。
「裏番の花沢輝気って奴です。
あの人のパンチ食らった人で怪我したこと無い奴なんかいない……。
なんつーか、化け物じみた力の持ち主っす」
「殴られて怪我しない人なんていないだろ普通」
「そ、そうっすけど……。
あ！ あとなんでかこっちの拳が届かないんすよ！」
拳が届かない……まるで結界だな。
結界……？ そういえば影山も結界が張れるとか言ってたな。
もしかしてそっちか？
うむ……。
「ちょっと俺を何回か殴ってみて」
「え、はっ？ 何言ってるんすか！」
「避けないから。ちょっと試したいことがあって」
「う、うっす…」
渋々、といった面持ちで俺に向かって殴り掛かるそいつ。
試したい、というのは結界のことだ。
前に張った結界は簡易的なもので、霊を閉じ込める程度しかできない。
薄い「ばりあ」を張っているような状態。
本格的な結界はその「ばりあ」を厚くして、霊からの攻撃を受け止めるもの。
「……あ、あれっ？」
「あー……やっぱり」
やったことが無かったから不安だったが、どうやら予想通りだったようで。
不良の拳は俺の数センチ前でピタリと止まる。
……結界にはじかれたのだ。
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雨散々(プロフ) - マスヲさん» コメントありがとうございます。私の作品で笑っていただけて何よりです。これからも笑いをとれるように頑張ります(笑) (2017年2月4日 10時) (
レス) id: 2f2c9aedea (このIDを非表示/違反報告)
マスヲ(プロフ) - コメント失礼します。めちゃくちゃ面白かったです！！久々に笑いました(^^)更新頑張ってください！ (2017年2月3日 22時) (レス) id: f55d281746 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：雨散々 | 作成日時：2017年1月20日 19時
