男２人女装中、帰路 ページ16
帰り道。
俺と影山が元々着ていた服は事務所に置いてきてしまったので
女装したまま道をボテボテと歩いていく。
行きはあんなに視線が刺さっていたのに帰りはどうだろう。
誰一人として俺たちの存在を気にかけることはない。
完璧に女だと思われている証拠だ。
捕まるよりはマシだがこれはこれで悲しい物があるぞ。
それよりも、先程から影山の様子がおかしい。
そういえば悪霊が消える前、影山に何か言っていた気がする。
確か……青春の脇役がどうとか。
ふむ……。
「なあ、影山。もし悪霊の言ってたこと気にしてんならあれだ。
気にすることねえよ」
「…でも、納得出来るところはあったし
それに、せっかく楽しくなれたって言ってたのに…」
「バカ言え、あれはただ怪奇現象に怯える女子見てたかっただけの変態野郎だ。
死してなお現世に悪影響を及ぼす奴のことを悪霊っていうんだぜ？
ちょっとばかり心は痛むが、消さなきゃいかんのだよ」
「そう、ですか…。
……あの、青春を謳歌するにはどうすればいいんでしょうか？」
「むむっ、そいつは困った質問だ。
俺は青春時代寝て過ごしたやつだからなぁ…
が、そんな俺でも一つだけ言えることはあるぞ」
影山はゴクリと息をのみ、俺を見る。
そんなに見つめられても俺が緊張するだけだ。何も出ないぞ。
雰囲気に押され、俺は咳ばらいを一つして口を開く。
「青春の脇役かどうかは自分で決めろ。
他人が決められるような軽いもんじゃねえ」
「自分で……？」
「そ、自分で。
たとえ周りがお前のことを脇役だと言っても
お前が自分のことを主役だと思ってりゃ、お前は主役だ。
また逆も然り。
自分が脇役だと思って生きるのもアリ。
人生ってそういうもんだと思うよ、俺は」
……あ、青春だったっけか。まあどっちでもいいや。
影山の顔も少し明るくなったみたいだし結果オーライだ。
いやあ俺、今最高にカッコいいこと言ったな。
…………女装のせいでなにもかも台無しだけど。
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雨散々(プロフ) - マスヲさん» コメントありがとうございます。私の作品で笑っていただけて何よりです。これからも笑いをとれるように頑張ります(笑) (2017年2月4日 10時) (
レス) id: 2f2c9aedea (このIDを非表示/違反報告)
マスヲ(プロフ) - コメント失礼します。めちゃくちゃ面白かったです！！久々に笑いました(^^)更新頑張ってください！ (2017年2月3日 22時) (レス) id: f55d281746 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：雨散々 | 作成日時：2017年1月20日 19時
