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執念の男、寺蛇 ページ9

ふわふわと影山の空中運転を軽く楽しみながら外を見ると、
なにやら頑丈そうな建物が一つ、森の中にひっそりと建っていた。
花沢もそれを確認したらしく、ここで下ろそう、という合図を送る。
すると激しい勢いで車が地面に叩きつけられる。
その衝撃で、運転席と助手席からは空気の枕みたいなものが出て来た。
後部座席にそんなものはついていないから俺は直に衝撃を受ける……と思いきや、
車が地面につく瞬間、影山が俺を浮かせてくれたらしく
俺の体に傷一つつけられることはなかった。

「オーケー。ここからは徒歩で行こう」

花沢の台詞を聞いて、俺たちは車を降りる。
そこから少し歩いたあたりで、後ろから無機質な軽い音と、人が走り去る音が聞こえた。
振り向いて、寺蛇が逃げたことを知る。
えくぼくんが「追うか?」と訊いたが、花沢は軽く悩むそぶりを見せてから、
「あれだけコテンパンにしたらもう逆らってこない」という理由で先に進むよう促した。


「なんかなー」

俺が頭の後ろで手を組みながら呟くと、「どうかしたか」と花沢が反応する。

「こう……敵に背中を向けるっていうのがさ――」

どうも気にくわない、と言いかけた時。
背後から強めの風が吹いた。

振り向くと、二本の大木が宙に浮いている。
身の危険を感じた俺は、足に力を入れて、道が開けていない所に飛び退く。
俺は転がるように受け身をとって、立ち上がる。
その時、あたりに広がる土煙を吸ってむせた。

げほげほと咳き込んでいると、頭上から花沢のものらしき声が聞こえる。
自分の咳でなんと言っているかはわからなかったが、誰かを呼びかけているようだった。


土煙がおさまった頃、木が落ちてきた場所を見ると
影山が真顔で立っていた。
……ずっとそこにいたのか、影山。

二人の無事を確認して安心した俺は、軽く走って影山の元へ向かう。

「影山、怪我とかしてないか?」
「はい……でもなんで空から木が……」

影山が疑問を口に出すと、花沢が近くの木から飛び降りてきた。

「あいつだ。
 ムチのような念能力を使うって言ってた」

花沢が言い切ると、背後から「覚悟しろ、ガキども」という寺蛇の声が聞こえてくる。

……ちょっと鈍ったかな→←ナビゲーター寺蛇



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雨散々(プロフ) - 椿さん» 大変申し訳ありませんでした。即刻訂正させていただきました。丁寧なご指摘本当にありがとうございます。 (2017年4月9日 11時) (レス) id: eca17ac586 (このIDを非表示/違反報告)
椿(プロフ) - コメント失礼します。実在する人物、小説、漫画、アニメなどのキャラクターを使用した作品なので、オリジナルフラグを外してください。違反とみなされ通報される可能性もありますよ。 (2017年4月9日 10時) (レス) id: 70ed70658f (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:雨散々 | 作成日時:2017年4月8日 17時

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