今時の子供こえぇ ページ29
つられてそっちを向くと、顔面傷跡だらけの老人がそこに立っていた。
……もしかしてさっきのガスマスクさん？
服装的にそれっぽいな。
声のせいでちょっと女の子かなとか思ってたけどただ変声してただけか。
ちょっと残念。
どうやら眼鏡ヤクザと分身ハゲもその老人の素顔を見たことがなかったようで、呆然とする。
「あたしは君たちを否定する。人は人、それ以上でもそれ以下でもない！ そう言ったね？」
「ああ」
「それは違うよ。それは逆に乱暴だ。あたしたちは特別だ！
他の人類よりも上位の生命体だよ！」
元ガスマスク老人がそこまで言うと、俺の隣にいた鈴木くんが頭を押さえてため息をついた。
あー……そういえばこいつ爪の一員だもんなあ。
上司かどうかわからんがこんなのが仲間内にいると恥ずかしいよなあ。わかるわかる。
特別だなんだとほざいたところで社会的地位が形成されるわけじゃない。
社会のお勉強を一からやり直すべきだな。そんで真っ当に生きるがよし。
「残念ながら、社会はあんたに興味ないんだよ」
霊幻は平然と老人に現実をつきつける。
だがもちろん、こんなので納得するようなやつだったらあんな反論をするわけがない。
当然のこと、霊幻の言葉を再び否定する。
そっちの尺度で作られた共同体は自分に適さないとか
力を持って生まれた自分がそれを振りかざして何が悪いんだとか
力を持つ自分を評価しない世界なんかいらないと言わんばかりの言葉ばかり並べるが、
影山の「超能力持っててもモテない」という一言で現実に引き戻された。
……それ単純だけど一番心にくるやつ。少なくとも俺だったら心が痛い。
「……っこの場の、全員支部ごと消してやる！」
老人が猿のような声をあげた瞬間、体が何かに引っ張られる感覚が俺たちを襲う。
それは大きな引力の塊のようで、老人の体を覆うような円形をしていて。
咄嗟に呪符を取り出し、物を引っ張るそれが消えるように祈る。
間に合わないと顔をしかめると同時に、鈴木くんが老人に向かって歩くのが見えた。
「っあぶな」
危ない、と呼びかけようとした。
しかしそれを言い切る前に鈴木くんは老人を右手で殴り飛ばす。
「往生際が悪い」
老人とはいえ成人男性を拳一発で……。
鈴木くんの実力を再確認して、俺の頬を冷や汗が伝った。
終わり
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雨散々(プロフ) - 椿さん» 大変申し訳ありませんでした。即刻訂正させていただきました。丁寧なご指摘本当にありがとうございます。 (2017年4月9日 11時) (
レス) id: eca17ac586 (このIDを非表示/違反報告)
椿(プロフ) - コメント失礼します。実在する人物、小説、漫画、アニメなどのキャラクターを使用した作品なので、オリジナルフラグを外してください。違反とみなされ通報される可能性もありますよ。 (2017年4月9日 10時) (レス) id: 70ed70658f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：雨散々 | 作成日時：2017年4月8日 17時
