73.不思議 ページ23
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船の一番下、牢屋が並ぶそこに、ゆうちゃんはいた。
露出の少ないいつものチャイナ服は
牢屋の汚れが着いて、美人な顔はやつれてる。
物音に顔を上げて、私を見つけて、酷く睨む。
恨まれてるなぁ。
｢私に会いたがってるって聞いたんですけど、そんなふうに見えませんね｣
｢私が殺してあげたのに。どおして、どおして･･･
私をどうするの、助けて･･･いや、阿伏兎、阿伏兎･･･｣
｢･･･ここから出してあげてもいい｣
｢先輩？！｣
｢あんたは客だし、別に上にどうこう言われたりしないし。
でも、もうこの船に近づかないって約束できるならね｣
私の言葉に、ゆうちゃんは酷く私を睨みつける。
阿伏兎に執着する理由はなんなのか
はっきりした理由は分からないけれど、きっとそれほどまでに好きなんだ。
私と同じように。
でも、私もここまでされて、怯えて彼女を差し出す女じゃない。
もう、怯えてない。
何も移さないその黒い瞳も、阿伏兎を呼ぶ可愛らしい声も
怯える必要は無い。
阿伏兎が助けてくれる確信が、今は何故かある。
本能的に感じとっていた恐怖は、もうほとんど無い。
今襲われても、襲い返してやる。
｢どう？｣
｢死ね･･･死ねっ･･･死ね･･･｣
言葉すら通じてないのか。
もう、1人で生きていけるかも危うい。
これを外に放り出すのも気の毒だけど、阿伏兎に好意を抱いている以上、傍には起きたくない。
あぁ、でも、阿伏兎も団長と団員も、悲しむかな、やっぱ。
･･･でもなぁ。
｢･･･はぁ。厄介だなぁ｣
でも、それだけみんなに慕われていたわけだから
私と出会う前のこの人は、もっと素敵な人だったんだろうな。
ボロボロと涙をこぼすその人に私は困って黙り込む。
どうするのが最善か、私には分からない。
｢とりあえず、ご飯でも食べに行く？
何も貰えてないんでしょ｣
どうして世話を焼くのかと聞かれるとなんとも言えない。
今すぐ追い出したいし、早く阿伏兎の元へ帰りたい。
でも、不思議と殺したいとは思わない。
私たちにかかわらないでいてくれるなら、それでいい。
狂ってしまったゆうちゃんを救いたいと思っているわけじゃない。
でも、死んで欲しい訳でもない。
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あい(プロフ) - おもちさん» コメントありがとうございます！予想に反することが出来て嬉しいです！こちらこそ、ご愛読ありがとうございました！ (2021年10月21日 3時) (
レス) id: 7ef5ab0f96 (このIDを非表示/違反報告)
おもち - 完結おめでとうございます！いつも予想外の面白い展開で楽しみに待ってました！とても面白かったです！ありがとうございました！ (2021年10月19日 21時) (レス) @page32 id: b22efef821 (このIDを非表示/違反報告)
あい(プロフ) - うさぎさん» またまたコメントありがとうございます！無事完結させることが出来ました！是非次作も楽しみにしててください！ありがとうございました！ (2021年10月19日 2時) (レス) id: 7ef5ab0f96 (このIDを非表示/違反報告)
うさぎ(プロフ) - またまたコメント失礼します！ 完結、おめでとうございます(*^o^*)作品更新の通知が来るたびに\(//∇//)\ってなってたので笑 少し寂しいようにも感じますが、これからも主様の作品を読んで、元気を貰おうと思います‼︎ (2021年10月18日 21時) (レス) @page32 id: d1ce909995 (このIDを非表示/違反報告)
あい(プロフ) - manaさん» コメントありがとうございます！お待たせしましたー！ (2021年8月30日 23時) (レス) id: 7ef5ab0f96 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：あい | 作成日時：2021年8月30日 10時
