Another ページ31
･ゆう･
｢おい、これ以上邪魔すんじゃねぇよ｣
低い声でそう言われ、腕を掴まれた。
あなたもだ。
きっとみんな、もう私よりあの子が好きで。
そうやって痛いほど腕を掴んで彼女の害になるものを止める。
嫌になって、辛くて、勢いをつけてそっちを見た。
それからその人の瞳に、私が映っているのを見た。
真っ直ぐに、見つめられていることに気がついた。
違うこの人は、私を見て、止めてるんだ。
なんだか力が抜けた。
この人なら助けてくれるかもしれない。
私を見てくれるかもしれない、それが、きっかけ。
｢一緒の部屋に連れてってくれると思わなかった。
襲われてもいいってこと？｣
私の言葉に、彼は鼻で笑った。
そんな態度にも、なんだか安心した。
あの子のための行動だとしても
私を見て、私に素で向き合ってくれることに、安心した。
端正な顔立ち。
綺麗な二重を持つその顔は、なんだかまだ幼さがある。
着いた部屋は、少し散らかっていて
男の人らしくて、普通過ぎて、少し笑った。
｢なんすか｣
｢安心する部屋だなって｣
心底おかしな顔をした彼に、私はまた笑ってしまった。
阿伏兎を追いかけて、殺しまでしようとしたのに
そうかあれは、恋なんかじゃなかったんだと今更気づく。
間違っていたと謝れる素直さすらないけれど
申し訳ないと思うくらいの理性はあって。
少し、気分が落ち込んだ。
そんな私にミネラルウォーターをくれるその人へのこの感情は、恋なんだろうか。
｢今度からここに泊めてよ｣
｢んなにベッドでかくねぇっす｣
｢そう･･･｣
｢･･･だぁもう、あんたがこの船出るまでっすから｣
｢お兄さんタイプってよく言われる？｣
｢実際に長男っす｣
大きくため息を着く姿に、ふふ、と声が出た。
ベッドの中、彼の体温を感じて思う。
阿伏兎、阿伏兎への感情は今考えると恋愛とは別のもので。
こんな事でみんなを振り回していたことに私は酷く後悔してる。
嫉妬と執着、私はまたこの船で、皆と騒ぎ遊ぶことをいつも夢見てた。
好きだった日がなかったわけじゃない。
あの日、あなたが私のために別れを告げた日、私はあなたが好きすぎて苦しかった。
でも私たち、変わってたんだね。
私たちとっくに、離れてたんだ。
あの日、離れていかないで、そう言わなかったことを後悔していたけど
今は、この船でみんなと笑っている今は、なんの後悔もないよ。
･
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あい(プロフ) - おもちさん» コメントありがとうございます！予想に反することが出来て嬉しいです！こちらこそ、ご愛読ありがとうございました！ (2021年10月21日 3時) (
レス) id: 7ef5ab0f96 (このIDを非表示/違反報告)
おもち - 完結おめでとうございます！いつも予想外の面白い展開で楽しみに待ってました！とても面白かったです！ありがとうございました！ (2021年10月19日 21時) (レス) @page32 id: b22efef821 (このIDを非表示/違反報告)
あい(プロフ) - うさぎさん» またまたコメントありがとうございます！無事完結させることが出来ました！是非次作も楽しみにしててください！ありがとうございました！ (2021年10月19日 2時) (レス) id: 7ef5ab0f96 (このIDを非表示/違反報告)
うさぎ(プロフ) - またまたコメント失礼します！ 完結、おめでとうございます(*^o^*)作品更新の通知が来るたびに\(//∇//)\ってなってたので笑 少し寂しいようにも感じますが、これからも主様の作品を読んで、元気を貰おうと思います‼︎ (2021年10月18日 21時) (レス) @page32 id: d1ce909995 (このIDを非表示/違反報告)
あい(プロフ) - manaさん» コメントありがとうございます！お待たせしましたー！ (2021年8月30日 23時) (レス) id: 7ef5ab0f96 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：あい | 作成日時：2021年8月30日 10時
