私の幸せ[銀魂‐坂田銀時]

36.みんな ページ36

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｢銀さん｣



分娩室を出た時、そこにはたくさんの人がいた。


顔見知りが、たくさんいた。


あいつの親も、みんな。


お前はこんなにも、友達がいたんだな。

ほとんど、俺繋がりじゃねぇか。


心配そうな顔をしたそいつらは、何かを聞こうとはしなかった。


あの土方くんでさえ、隊服着てそこにいんだ。

すげぇな、お前はよ。


色んなやつに、好かれてたんだ。



｢死んじまった｣



頭をかいて、少し笑った。


今にも泣き叫びたい本心と、それを誰かに見せたくない本心。


いっぱい泣いた。


冷たくなっていくあいつの手を、握りしめて。

最後に残った花を、抱きしめて。



｢何笑ってるアル･･･1番、辛いくせに･･･｣



少しの間の後、泣き声と、鼻をすする音。


こんなに悲しまれんのに、あんなに簡単に･･･いや、簡単じゃねぇか。


苦しんで、痛みに耐えて、泣いて。

それを簡単だなんて、俺は言えねぇ。


俺が知らない間の悪阻も、心配事も。

お前は頑張ったもんな。



｢んな泣くな。苦しまずに、ゆっくり逝けたんだ。

少しづつ、あいつのいねぇ時間に、慣れりゃいい｣



なぜか、振られたあの日よりも、気持ちが楽だった。


もう一生、会えねぇのに。

そんな不思議な感覚に、不安になるけど、

それでもなぜか、もう泣かなかった。


最後に、笑ってたからか。

愛していると、聞けたからか。




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