24.銀時 ページ24
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2人は結構すぐに帰った。
今から見回りだと言って、また来ます、そう言って。
1人・・・違うか、2人になった病室で私は窓を見た。
窓にはまるで飾りのように見える格子がついていて
自害しないようにするための対策だと少し前に気がついた。
そうよね。
いずれ死ぬとわかっていてこんなに辛いなら、
それはもういつ死んだって同じなんじゃないかな。
私だって、この子がいなかったらそういう選択をしてたかもしれない。
そういう考え方を、してたかもしれない。
格子の隙間から窓を開けると、夏の日差しが突き刺さる。
もうすぐ、夏が終わる。
少し前に、春の風に感動した覚えがあるのに。
もう、夏が終わってしまう。
いつ死ぬかも分からないのに、こんな風に
いつの間にか過ぎる時間を過ごしてる。
ガラ、そう音を立てて開いた扉に
土方さんか沖田くんが忘れ物でもしたのかと振り向いた。
夏の終わりの妙に乾いた、どこか爽やかな風が
少し少なくなった私の黒髪を大きく広げた。
「銀・・・」
なんて呼べばいいのか、言葉に詰まった。
無意識的に声が出た時、既にその人は私をきつく抱きしめてた。
冷たくなった体に包まれて初めて、涙が止まらなくなった。
「銀時、銀時・・・」
なんで?なんてそんな疑問も忘れて
ただ、その少し冷えた温もりの懐かしさに
温かさに、色々な感情が、嬉しさが、涙が、止まらなくなった。
私の呼び声に答えるように、
私を抱きしめる銀時への、隠していた愛しさが、溢れて止まらなくなった。
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うさきよ - 感動して、涙ぐんでしまいました…。すごく良いお話です!! (7月27日 1時) (レス) @page39 id: 55ad19f9cc (このIDを非表示/違反報告)
凛 - とても良かったです! (2022年12月14日 17時) (レス) @page48 id: 0db889cc25 (このIDを非表示/違反報告)
あい(プロフ) - rusa737さん» コメントありがとうございます!面白いけれどやっぱりバッドエンドに当たるので少ない設定ですよね…今後の新作にもまた活用させていただきます!ありがとうございます! (2021年5月8日 2時) (レス) id: 7ef5ab0f96 (このIDを非表示/違反報告)
rusa737(プロフ) - 通学の電車の中で読んでたんですけどめっちゃ感動しました…!夢主がしぬ設定好きなんですけど余り無いから新鮮かつめっちゃどストライクに刺さりました!!!これからも応援してます…! (2021年5月7日 17時) (レス) id: 34286106cd (このIDを非表示/違反報告)
あい(プロフ) - 常夏さん» コメントありがとうございます!完結もありがとうございました!わーい!桜ちゃんが出てくる回も気になりますよねぇ!良く考えてみます!! (2021年4月4日 20時) (レス) id: 7ef5ab0f96 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:あい | 作成日時:2021年3月1日 0時