私の幸せ[銀魂‐坂田銀時]

17.優しさ ページ17

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そこで、詳しい話はされなかった。


その子の引き取り先など、色んな問題があるはずなのに

お医者さんは、私を休ませてくれた。


お登勢さんの家の前に置いてきた段ボールには、何ヶ月分かの家賃を入れてきた。


そこからは、なんとかできるといいな。


この間教えて貰ったメールアドレスから土方さんに連絡をした。

申し訳ないけれど、この人にしか頼れないから。


事情を説明すると、土方さんは何故かすぐに病室に駆けつけた。



｢どうしたんですか？｣


｢どうしたもこうしたもねぇだろ･･･妊娠って｣


｢やっちゃった感は否めませんが、産みますよ｣


｢･･･そのあとはどうすんだ｣


｢真選組にお願いしちゃいましょうか｣


｢･･･冗談じゃねぇ、万事屋の子供なんか。

俺らだっていつ死ぬかわかったもんじゃねぇんだ、自分で育てろ｣


｢･･･知ってます。･･･でも、産んだら死んじゃうって｣



親のいない子、そんな子は世の中に沢山いて

必ずしも幸せになれると決まった子達ではない。


私の独断と我がままで、この子を産んで育てない。

そんな勝手が許されるだろうか。



｢･･･そういや屯所に空き室がある。

子供好きな女中もいるな。･･･万一そうなりゃ手ぇ貸してやる。｣



でも、てめぇの手で育てあげるんだな、そう釘を刺す土方さん。


もう帰るんであろう後ろ姿に涙が滲んだ。


振り返りもしないその人の優しさが、やっぱりあの人に似ている。


ありがとうございます、できるだけ大きな声でそう言った。

そのあと、少しむせたけれど、きっと聞こえたはず。



｢ごめんね、でも、きっと、あなたに後悔させないから。

産んだ私のこと恨むような世界は見せないから｣



ごめんね、私の元に来てくれてありがとう。


まだ何の変哲もない下腹部を撫でた。





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