私の幸せ[銀魂‐坂田銀時]

20.4ヶ月 ページ20

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｢神楽、醤油｣


｢はいヨ｣



色んな人が、尋ねた。


Aは？


この6年で、色んな奴の中に、あいつはいた。


いつも誰かを支えていた。


事情を話すと、誰も相手の名前を出さなくなった。


変に気を遣われている、いつもなら笑えるのに

今はその、全員の気遣いに、感謝できるほどだった。


日常会話すら少なくなった。

あいつがいない時、何を話してた？


特に会話の中心になるわけでもなかったあいつは

ただそこでクスクスと笑っていただけの時が多かったのに。


なぜ、こんなにも存在感が強いのか。

なぜ、なぜ。



｢銀ちゃん･･･醤油、かけすぎネ｣



醤油でヒタヒタになった卵かけご飯。


俺ァこれよりももっと心臓の当たりがどす黒くなった。


どこに行った？

好きなやつのとこか？

何を食ってる？


･･･今、笑ってんのか。


まるで、ずっと前から決めていたかのように

直ぐに荷物を持ってきて、ただ一言、謝罪を添えて、俺の名前を呼んだ。


あぁ、なぁ、お前の声は、どんなだったっけか。


俺の記憶より、甘ったるかった気もするし、

もっと低かった気もする。


なぁ、人間の記憶なんて、鮮明じゃねぇんだ。


お前の笑顔は、実物でしか見えねぇんだ。

お前の声は、実物でしか聞けねぇんだ。


なんで、見せてくれねぇんだよ。



｢おい神楽、あの日から何日経った｣


｢･･･4ヶ月ネ｣



もうそんなに経ってたか。


もうそんなに、あいつを求め続けたか。


探しに行くような事もしねぇで、

ただ、心の中で、4ヶ月も追い求め続けた。


探しに行けるような、根性もねぇで。





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