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いいと言ったのに、万事屋は俺の後に着いてきた。


お節介、お人好し、日々そう言われている理由がよくわかる。


着いてこなくていいと、歩き始めて直ぐに言ったが

俺にはあの手を離しちまった罪悪感があんだよ、と、どこかつばが悪そうに言った。


無言で歩き、しばらくすれば、デケェ屋敷が立ち並び始める。


総悟があとからまた隊士を連れて来る。

でもそんなもん待っていられるわけもない。


俺は今すぐにでもあれを取り返して

折れそうな程に薄く細い肩を抱きしめてやらねぇと。



「名字もわかんねぇのかよ」


「多少の検討はついてる」



久しぶりに口を開いた万事屋に

松平のとっつぁんから来た、あいつかもしれない人間の名前がびっしりと書かれたメール見せる。


骨が折れそうだな、と呟いて

万事屋は首を回した。



「手分けすんのか」


「・・・悪いな」



俺の言葉に、万事屋は何も言わない。


へいへい、といつも通りだるそうに、東に向かって歩き始める。


だるいなら着いてこなければいいものを、と考えてから

だるい振りをしているだけか、と納得する。


万事屋の背中をちらりと見て、俺は西に向かって歩き始める。


歩く、と言うより、早歩き、が妥当な言い方かもしれねぇが。


デケェ屋敷のデケェ庭で、いいものを着た子供がじゃれあっている声や

犬が駆け回っている様子が伺える。


こんな幸せそうな家じゃねぇだろうな、あの男の家は。


何も知らない男だが、それくらいは分かるくらい、男の性格がねじ曲がってるのはわかる。



「・・・A」



小さく呟いた、その名前の持ち主は、今、何をしているのか。


怖い目に会いたくねぇなら

俺の元に帰る予定なら、なんで屯所を出たのか。


問いただしてやらねぇと、抱きしめて、やらねぇと。


馬鹿みたいに甘やかして、ドロドロにして。


そうして、俺がいないと生きられないように、俺がいると死ねないように

俺がお前の、生きる意味になれたらいい。






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あい(プロフ) - はるさん» コメントありがとうございます、また返信遅れて申し訳ありません。ずっとスランプ状態で更新しておりませんが、必ずきちんと更新させて頂きたいと思っておりますので、もし待っていただけるのなら今後ともよろしくお願いします! (2022年5月7日 23時) (レス) id: ac72e0904e (このIDを非表示/違反報告)
はる(プロフ) - あいさん!あいさんの作品いつも楽しみに読ませていただいています!真選組の女とこの作品はもう更新予定ありませんでしょうか?よかったら教えて欲しいです!!いつも楽しみにしています!! (2022年4月8日 23時) (レス) id: 7cd419164a (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:あい | 作成日時:2021年10月19日 21時

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