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屯所を出て少し歩き、
自然と足は早くなって、俺はついに走り出す。
死にてぇならどこか遠くで死ねと、1度伝えたことがあるのを思い出す。
俺のそばで死なせる気がないから、俺のいないとこでないと死ねないと、そう。
死にに行ったのか、それ以外に、あそこから逃げる理由なんざ思いつかなくて。
もし昨日の奴らに出会っちまったら、どうすればいいのかと、ただ焦る。
冷や汗と、走ったことによる汗と
色んなものでぐちゃぐちゃになりながら、走った。
見廻りなんか、ほとんど出来てなくて
あいつ以外は視界に入らなくて、でも、視界に入るはずのあいつもいない。
一体どうすればいい?
そこで、どうしてここまで焦っているんだと、足を止めた。
離れなきゃ行けねぇと、自分で思ったくせに。
あいつといたら、自分の理性が崩れることは、誰より自分がわかっているのに。
本気で死にてぇなら、死なせてやりゃいいのに。
俺の目の前で死ぬんじゃないなら
それは、毎日何千何万と死んでいく人間と同じ、助けられねぇ死で。
でも、俺は、あいつに死んで欲しくなくて。
あぁ、そうさ、ただの私情だ。
俺は、あいつに、生きて欲しい。
生きる意味なんて元々なかったお前に、生きて欲しい。
誰でもいい、誰でもいいから、誰かに、幸せにさせてもらって欲しい。
死なないで欲しい。
いなくなったそいつに、腹が立ち始めた。
急に居なくなるなよ。
心配するだろうが。
いつか本当に、お前が死ななきゃ行けなくなった時がきたら
俺が、お前を殺してやるから。
もしお前が、俺に好意を抱くなら
その時は、俺も一緒に、死んでやるから。
ただの被害者?
一夜の過ちすら忘れられる存在?
とんだ嘘つきだな、俺ァ。
もう、戻れねぇのに。
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あい(プロフ) - はるさん» コメントありがとうございます、また返信遅れて申し訳ありません。ずっとスランプ状態で更新しておりませんが、必ずきちんと更新させて頂きたいと思っておりますので、もし待っていただけるのなら今後ともよろしくお願いします! (2022年5月7日 23時) (レス) id: ac72e0904e (このIDを非表示/違反報告)
はる(プロフ) - あいさん!あいさんの作品いつも楽しみに読ませていただいています!真選組の女とこの作品はもう更新予定ありませんでしょうか?よかったら教えて欲しいです!!いつも楽しみにしています!! (2022年4月8日 23時) (レス) id: 7cd419164a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:あい | 作成日時:2021年10月19日 21時