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屯所に戻り、部屋にAを置いて

待っていろと言い近藤さんの元へ行った。


団子を渡すついでに、男の容姿やら金持ちそうだったことやらを伝えた。



「・・・客だった人間はほとんど捕まえられなかった。

人間買ってんだ、俺らより位が高い人間の可能性の方が大きいに決まってる」



俺の言葉に、近藤さんは何も言わなかった。


同じ意見なんだろう。



「・・・Aちゃんは・・・って、部屋か」


「あぁ」


「とりあえず、トシは彼女のそばにいてやれ。

あの子には今、トシしかいねぇんだ」



部屋へ戻る道、近藤さんの言葉を思い出す。


俺しかいない。

あいつには未だに、俺すらもいないんじゃないか?



「土方さん」



モンモンと考える中、総悟に呼ばれハッとする。



「・・・明日、命日でさぁ」



誰の、とは聞かなくてもわかる言葉だった。



「・・・たまには、行ってやってくだせェよ」


「明日は今日の仕事で手一杯だ」



何よりあいつが死んだ後、墓参りにも来んなと言われた覚えがある。

本心だった、とはあまり思えなかったが。


俺はあいつの墓参りに、一度だって行ったことは無い。


後悔するからだ。


一緒に武州から出たいと言ったあいつを、

最後まで俺を信じていたあいつを思い出して。


罪悪感と、一度くらい気持ちを伝えても良かったなんて言う後悔と

でも、俺は俺のやるべきことをしなければいけなかったという正義感と。


色んなもので押しつぶされそうになるからだ。



「次の女に乗り換えたって、伝えなくていいんですかィ」


「次の女?何言ってんだ。

俺ァ生まれてこの方恋愛なんてしたこたねぇよ」



俺の言葉に、総悟は顔を歪めた。


こいつは姉の話になるとどうもいつも以上に厄介な性格になる。


死んでからは、少し、少しだけ、マシになったが。



「・・・あんた、恋愛になるとガキみてぇだ」


「馬鹿にしてんのか」


「・・・俺ァアンタの気持ち、よくわかるし否定なんてしねぇ。

でも土方さん・・・このままじゃ・・・


せっかく量産してる種が可哀想でさぁ」


「いいっかげんにしろよ、時間返せくそ」



かっこつけんなら最後までかっこつけろよ。


・・・まぁ、言いたいことは伝わったが。

総悟に拳を上げたが上手いこと避けて逃げられる。


俺の気持ち、ねぇ。






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あい(プロフ) - はるさん» コメントありがとうございます、また返信遅れて申し訳ありません。ずっとスランプ状態で更新しておりませんが、必ずきちんと更新させて頂きたいと思っておりますので、もし待っていただけるのなら今後ともよろしくお願いします! (2022年5月7日 23時) (レス) id: ac72e0904e (このIDを非表示/違反報告)
はる(プロフ) - あいさん!あいさんの作品いつも楽しみに読ませていただいています!真選組の女とこの作品はもう更新予定ありませんでしょうか?よかったら教えて欲しいです!!いつも楽しみにしています!! (2022年4月8日 23時) (レス) id: 7cd419164a (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:あい | 作成日時:2021年10月19日 21時

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