23. ページ23
･
｢行くか｣
そいつが最後の一口を食い終わるのを見て、俺はそう声をかけた。
｢なんでぃ、2人でデートですかぃ。やーいさぼりー｣
｢サボりじゃねぇよ！デートでもねぇよ｣
｢A、迷子になるんじゃありやせんよ。
変な男を見つけたらすぐ土方さんにいいなせぇ｣
｢どっちが年上だよ｣
｢ありがとう沖田くん、可愛い着物買ってくるね｣
｢･･･俺からもお小遣い｣
｢い、いらない！もう十分にある！｣
申し訳なさそうに両手を振るそいつに貢ぎたがる総悟。
どちらが年上か分からない状態で
いい子だなぁと総悟がそいつの頭を撫でる。
｢今度俺とも買い物しやしょう｣
｢うん、楽しみにしてるね｣
クスクスと笑ってようやく総悟に手を振り屯所の門を出る。
そいつの歩幅に合わせるようにゆったりと
あの日の雪なんか嘘のようにただ寒いだけの江戸を歩く。
｢･･･首周り、寒そうだな｣
｢大丈夫大丈夫｣
既に鼻先を赤くしたそいつの説得力の無い言葉に溜息をつき
自分の首元に巻いていた少し薄手のマフラーをそいつに巻く。
｢や、悪い、から｣
｢俺の方が寒さにゃ強ぇよ。
おめぇはその薄い体あっためとけ｣
｢薄い体って･･･ちっちゃいって言いたいの？｣
｢ちっげぇよ！そこの話じゃねぇだろ｣
なんでそうなるんだよとこめかみを抑える俺を心底楽しそうに見る。
分かっていてやってるあたり、こいつもなかなかの性格だと思う。
土方さんの温もり残ってる、なんて次はきっと天然でそう言う。
おめぇの不思議な雰囲気に魅せられたのは事実だが
今はそういう、可愛らしいところにも一々反応しちまう。
顔や態度に示さないように、こいつが気づかないように。
珍しく自制の難しい自分に腹を立てながら
俺はそいつの、隣を歩く。
･
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 195人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「銀魂」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
あい(プロフ) - はるさん» コメントありがとうございます、また返信遅れて申し訳ありません。ずっとスランプ状態で更新しておりませんが、必ずきちんと更新させて頂きたいと思っておりますので、もし待っていただけるのなら今後ともよろしくお願いします！ (2022年5月7日 23時) (
レス) id: ac72e0904e (このIDを非表示/違反報告)
はる(プロフ) - あいさん！あいさんの作品いつも楽しみに読ませていただいています！真選組の女とこの作品はもう更新予定ありませんでしょうか？よかったら教えて欲しいです！！いつも楽しみにしています！！ (2022年4月8日 23時) (レス) id: 7cd419164a (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：あい | 作成日時：2021年10月19日 21時
