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いつも通りの時間に目が覚めた。


目覚ましより早く起き、目覚ましを止める。


左手の重みはそいつの手。


あの後起きずに寝れたらしい。

未だに、きちんと閉じられている目に、少し笑った。


飯を食って朝の鍛錬。


もちろんこんな時間にこいつが起きる必要はなく

この3日4日も俺が起きたからと言ってこいつを起こすことは無かった。


ゆっくり左手を抜き、その場を離れようとすれば

手が無くなったことに気がついたのか、そいつも目を覚ます。



「まだ寝てろ」


「土方さん、いっつも私に寝てほしそう」



ふにゃふにゃと笑いながらそう答える。


寝れてねぇやつに寝て欲しいと思うのなんてあたりめぇだろ。

思ったものの口にはせずに、俺は枕の上に置いてあったタバコに火をつけた。



「・・・鍛錬ですか?」


「まぁな」



お前は好きにしてろ、そう言って隊服を持って部屋を出ようとした。



「・・・土方さん」


「あ?」


「あの、その、お、金を、稼ぎたくて・・・」


「・・・金?」



少し顔を赤らめながらそんなことを言う。

少しはだけた着流しを着た体を起こしてこくこくと頷く。



「金は国から支給される分がそろそろ届く」


「あ、そっか・・・あ、じゃあ、その、お金、届いたら

・・・買い物に、連れて行って欲しくて・・・あ、土方さんじゃなくても!

あの、忙しくない方がいたら案内だけ、して欲しくて」



申し訳なさそうに眉を下げながら

そいつは口ごもってそう言う。


いっそ俺がいいと言ってくれれば、この妙な不快感は覚えなかったはずなのに。

誰でもいい、ね。




「分かった、今度空けとく」


「いや、そんなわざわざ」


「見回りついでだ。おめぇを預かったのは俺だしな」



待っとけ、タバコをふかしながらそう言って

俺は部屋を出た。







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あい(プロフ) - はるさん» コメントありがとうございます、また返信遅れて申し訳ありません。ずっとスランプ状態で更新しておりませんが、必ずきちんと更新させて頂きたいと思っておりますので、もし待っていただけるのなら今後ともよろしくお願いします! (2022年5月7日 23時) (レス) id: ac72e0904e (このIDを非表示/違反報告)
はる(プロフ) - あいさん!あいさんの作品いつも楽しみに読ませていただいています!真選組の女とこの作品はもう更新予定ありませんでしょうか?よかったら教えて欲しいです!!いつも楽しみにしています!! (2022年4月8日 23時) (レス) id: 7cd419164a (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:あい | 作成日時:2021年10月19日 21時

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