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18. ページ18






「・・・土方さん」


「なんだって」


「どこ?」


「ここにいる」


「意地悪言わないで教えて」


「隣」


「手・・・手、握って」



子供のようなことを言いながら、ゴソゴソと布団から左手を出す。


俺はそれを断ることなんて当然出来なくて

出された細くて小さくて、少し傷のある手をそっと握ってみた。



「寝れるか?」


「・・・土方さんの手、温かい」


「そーかよ」


「・・・安心する」


「喋ってねぇで寝ろ」



手を握られたまま、自分も自分の布団に入った。


甘えられるとわかると、それなりに素直になる。

明日になれば、その素直さもリセットされるが。


ギュッと、小さな手が俺の体温を奪っていく。


勘違いさせるような行動を、こいつは俺にだけする。


でもそれでも、こいつはきっと俺のものにはならないし。

俺はこいつを自分のものにはしないんだろう。


こんなにもそばに居るはずなのに

俺たちの間には、互いに置いた壁が確かにある。


踏み込めない場所が、確かにある。


数分で寝息を立てるそいつの髪を、空いた手ですくった。


大抵の事は我慢がきく。

初恋すら、俺は耐え凌いだ。


だから別に、俺が本当にこいつに恋心を抱いていようがなにかに支障をきたすことは無い。

何より、互いに、恋人は求めていないのだと俺は知ってる。


小さな顔と、長いまつ毛が

月明かりによってよく見えるようになった。


未だに細かいことは教えてくれないこいつのことを

俺は結局何も知らないまま。


無理に聞くことも出来ずに、こうやって放置する。


なんだっていい。

恋人になりてぇわけじゃねぇ。


ただやっぱり、大事に思った奴に、死にたいなんて、思って欲しくねぇんだ。


俺はただ、普通になってくれれば、

そうやっていつか幸せになってくれれば、生きてさえいてくれれば



それでいい。






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あい(プロフ) - はるさん» コメントありがとうございます、また返信遅れて申し訳ありません。ずっとスランプ状態で更新しておりませんが、必ずきちんと更新させて頂きたいと思っておりますので、もし待っていただけるのなら今後ともよろしくお願いします! (2022年5月7日 23時) (レス) id: ac72e0904e (このIDを非表示/違反報告)
はる(プロフ) - あいさん!あいさんの作品いつも楽しみに読ませていただいています!真選組の女とこの作品はもう更新予定ありませんでしょうか?よかったら教えて欲しいです!!いつも楽しみにしています!! (2022年4月8日 23時) (レス) id: 7cd419164a (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:あい | 作成日時:2021年10月19日 21時

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