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寝転んだそいつの隣に座り
ほかの隊士が持ってきた書類に目を通していれば、そいつの視線に気がつく。
「寝れなくても目瞑ってろ」
「・・・お巡りさん、優しい。
・・・ね、隣、ここ、ゴロンして」
ポンポンと少し開けた自分の布団の中を叩く。
危機感の欠片もねぇその行動に溜息をつきそうになったが
俺は布団の上には行かず、そばの畳の上にそいつを向いて寝転んだ。
「そこ、痛いでしょ」
「なんてことねぇよ。ほら、目瞑れ」
「・・・起きたら、これが全部夢ってことは」
「ねぇよ。保証してやる」
んな事心配してたのかよ、そう言って俺はそいつの腹の上に被った布団の上からそいつの腹をとんとんと叩いた。
あぁ、やっぱりらしくねぇ。
こいつを前にするとどうも変な行動ばかりしやがる。
しかしこれで目の前のやつが安心したように目を瞑るんだから仕方ない。
こうすることが正解だったと言うしかない。
しばらくして、スースーと静かに寝息を立てるそいつに
俺も酷く安堵した。
このまま起きずにゆっくり寝てくれりゃいいんだけど。
叩いていた手を止め、静かにそこにまた胡座をかいた。
書類を音を立てないようにめくり、静かな空間で仕事を始める。
ここにいるヤツらとは違う、家族の元へ帰る奴らの話からすれば
あそこでの扱いは相当酷かったらしい。
目の前の奴らの体中に痣があったように、
暴力は日常茶飯事、売られても遊ぶだけ遊びあそこへ返されることもよくあったと。
酷い暴力の末死んでいくガキも少なくなかった、か。
それに一つ気にかかったのは
みんながみんな、やっと眠ったそいつよりも遅くにあいつらに捕まっていたということ。
誰も、そいつがいつからそこにいたか知らない。
・・・おめぇ、あの日、本気であそこから逃げたかったんじゃねぇのか。
なんで俺からも逃げた?
どうして、あのまま生きることを諦めようとした?
なんで、また、あそこに戻ってっちまったんだよ。
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あい(プロフ) - はるさん» コメントありがとうございます、また返信遅れて申し訳ありません。ずっとスランプ状態で更新しておりませんが、必ずきちんと更新させて頂きたいと思っておりますので、もし待っていただけるのなら今後ともよろしくお願いします! (2022年5月7日 23時) (レス) id: ac72e0904e (このIDを非表示/違反報告)
はる(プロフ) - あいさん!あいさんの作品いつも楽しみに読ませていただいています!真選組の女とこの作品はもう更新予定ありませんでしょうか?よかったら教えて欲しいです!!いつも楽しみにしています!! (2022年4月8日 23時) (レス) id: 7cd419164a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:あい | 作成日時:2021年10月19日 21時