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「家どこだ、送る」



早いとこここから動かさねぇと本当に死んじまうじゃないか。

そう思うほどに青ざめた顔。



「・・・家は、ないから」


「じゃあどこから来た」


「どこ・・・あぁ、お巡りさんは、私をあそこに帰したいってこと?」



なるほどと理解した様子に、俺はまた胸騒ぎを覚えた。

家と呼べるような場所は本当にないらしい。



「あそこに帰れって言うなら、どの道私は死んじゃうよお巡りさん」



ふふっと、何がおかしいのか微笑む。


よく見ると腕の辺りに巻かれている包帯や、

着物から出る体の細さがその異様さを際立たせる。


どんな場所に帰れば死ぬというのか。

ここに居るよりもよっぽど生きられるだろうが。


そうは思ったものの、一筋縄では帰ってくれないだろう様子に

俺はまた白い息を吐き出した。



「何言われても、目の前で死なれるわけに行かねぇ。

屯所連れてってやるから、着いてこい」



何を言っているんだという顔をして

そっとまた顔の位置を戻すそいつの細っこい腕を俺はできるだけ優しく引っ張りあげた。


こんなもん、ちょっと力入れたらヒビくらい簡単に入っちまう。


食べられないのか、食べさせられないのか。

血の滲んだ歪な包帯とその細さに、俺はもう一度頭を悩ませる。


これは思っている以上にやばい状態だな。



「ちょっと距離あるけど歩けるか」


「・・・うん」



抵抗するかと思ったがすんなりとおぼつかない足取りで俺に引っ張られるそいつ。


余程酷い場所から出てきたのか

本当は死ぬ気なんてなかったのか。


躓きながら俺に着いてくるものだから

俺は行きよりもゆっくりと、そいつに極力合わせたスピードで歩いた。


吹雪はさっきよりも弱くなったかもしれないが

濡れたそいつの髪と着物を見た時、寒さが倍増した気がした。







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あい(プロフ) - はるさん» コメントありがとうございます、また返信遅れて申し訳ありません。ずっとスランプ状態で更新しておりませんが、必ずきちんと更新させて頂きたいと思っておりますので、もし待っていただけるのなら今後ともよろしくお願いします! (2022年5月7日 23時) (レス) id: ac72e0904e (このIDを非表示/違反報告)
はる(プロフ) - あいさん!あいさんの作品いつも楽しみに読ませていただいています!真選組の女とこの作品はもう更新予定ありませんでしょうか?よかったら教えて欲しいです!!いつも楽しみにしています!! (2022年4月8日 23時) (レス) id: 7cd419164a (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:あい | 作成日時:2021年10月19日 21時

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