19 位置について、よーい！ ページ20
「「「「ありがとうございました！！」」」」
モニターの向こうで、お兄ちゃん達が頭を下げている。
終わった。ライブ会場の外、画面越しでも伝わる、冷めない熱気。
「んっ、？あ、がくや、か」
「おはよ。丁度ライブが終わったところだよ」
起きると、そこには知らない天井。そうだ、楽屋で寝たんだった。
「おはよ、ライブ成功したみたいだね」
「うん、凄かった」
付けっ放しになっているモニターからは未だに熱気が伝わってくる。
そして、葵のやけにスッキリとした顔。
「葵、なんかあった？」
と聞けば、
「あっもうバレちゃった！？」
おどけたようにいう。ちょっと緊張？か不安があるらしい。
「あのね、A。私、底辺歌い手辞める事にした」
突然の告白。何故急に？と思う。
「急だね。ま、応援するけど。本気の葵の歌がいつでも聞ける様になるの嬉しいし」
「ありがとう」
そう言い葵はちらりとモニターを見た。
その横顔は真剣で。ああ、そういうことか。と一人納得した。
「ただいまー」
大きな高い声が聞こえて、ドアが開いた。
「お疲れお兄ちゃん！後皆さん！！」
「ありがとうって、俺らはついでかよ」
「うらたんどんまい。葵はブラコンだから仕方ない」
「へー、そうなんや」
「あっ、皆さんお疲れ様でした。すみません、寝てしまって」
「いーよ、いーよ。薬の副作用？なんやろ？」
私が謝ると、センラさんがそう言った。まさか、病気の事を話したの？
ばっと、お兄を見ると
〈ぜんぶはいってない〉
と口をパクパクさせている。
まあ、なら良いか。
「ねーねー、葵？お兄ちゃん、フェスがんばったんだけど、どうだった？」
「んー？そんなの、決まってるでしょ！！もう最高！いつにも増して、お兄ちゃんかっこよかったよ！！大好き！！！」
まふにいと葵の会話は可愛い。ブラコン、シスコン同士、素直に相手に好意を伝えている。
それに比べて私は、
「Aは？そらるさんどう思う？」
「ごめん、ずっと寝てたから分かんないや」
「そうだったね」
お兄はそれで話を切り上てくれた。でも、ちょっと悲しそうな顔。だって、私が寝ていたのは知ってたもんね？だから、わざわざ「そらるさんどう思う？」って聞いたんだよね？
そんなの、憧れで尊敬してて、かっこよくて、面白くて大好きな人。
それに、本当は起きてた。ふと目が覚めた。その時モニターの向こうでお兄が歌ってた。
ステージの上のお兄はそらるさんで、当たり前にかっこよくて、輝いていた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 164人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「歌い手」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ちょこ - 終わってます！戻ってきてください！続き楽しみに待ってます！ (2021年2月11日 3時) (
レス) id: 5ad0b4ef6a (このIDを非表示/違反報告)
りおな - 読みづらいのを解消するには…一行とか二行とかマスを開けたらいいよ！ (2020年3月9日 18時) (レス) id: fd98254018 (このIDを非表示/違反報告)
ひかる(プロフ) - (名前の)になってます。そして、読みづらいです (2020年3月9日 18時) (レス) id: fb07734dbe (このIDを非表示/違反報告)
青(プロフ) - 登場人物紹介の志麻さんの字違いますよ！w (2019年11月1日 22時) (レス) id: 38755f3eb5 (このIDを非表示/違反報告)
まろまろ - 面白いです！！これからも頑張ってください！！ (2019年6月14日 20時) (レス) id: b9e42e7531 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：鯉月 | 作成日時：2019年5月19日 12時
