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次の日、大会初日__。
かなり和んだ雰囲気で朝食時の会話も弾んでいた。
一時間のコート割当ての練習があり、それに合わせてウォーミングアップと軽いラリーを外で済ませる。
コートでの練習も無事に終え、開会式も済ませて初日は終わる。
大会二日目__ブロック予選
各3チームずつのブロック予選で、愛知県は12組目で宮崎県と神奈川県との対戦となった。
しかし、そう上手く本調子とはならないもので。
各々仕上がっておらず、結果は、一勝一敗のブロック2位となり、一応決勝トーナメントへの駒は進めた。
その夜開かれたミーティングで監督は言った。
『まだ、終わっていない。目標は"優勝"だ』
勝ちたい。後悔したくない。
誰もがそう思った。
大会三日目__決勝トーナメント戦
負けたら終わり。
俺たちの目標は、優勝すること。
石川の活躍によってチーム全体が引っ張られていく。
山崎のスパイクも、中根のトスも、神谷のブロックも、佐藤のブロックも。
俺のレシーブも。
調子を上げていく。士気を高めていく。
____目標へ、近づいていく。
そうして愛知県代表は、ベスト4まで残り、準決勝へと駒を進めた。
大会最終日__決勝・準決勝戦
最初の準決勝は、埼玉県との対戦であった。
結果 25-22 25-20
___勝者 愛知県
決勝戦__東京都 対 愛知県
サーブ、レシーブ、トス、アタック………
繋ぐ、繋がる、繋げない、繋がらない………
上手くいかない。強い。
第一セットは17-25で東京に取られた。
焦る。でも焦りは禁物だ。
俺は調子を崩してしまい、コートから引っ張り出された。
第二セットはタイブレークに持ち込まれるも、27-25で取り返す。
続く第三セットの結果は、22-25。
東京都の勝利となった。
閉会式では、準優勝として愛知県が表彰され、少し小さいトロフィーを掲げる。
ベストリベロ賞に俺ではない誰かが呼ばれて、いつのまにか閉会式は終了していた。
「嬉しいけど、悔しいです」
ひな段に座り、キャプテンである石川が、テレビ局のインタビューでそう答えた。
本当にその通りだと思う。
「でも、この経験を活かして、次の試合で勝てるように頑張っていきたいと思ってます」
俯いていた顔を上げさせられる言葉だった。
隣の滝沢が言った。
「なぁ川口。俺ら、頑張ったよな。だからさ、笑おうぜ」
「じゃあ記念撮影いきまーす」
パシャ
その写真の俺は、くしゃくしゃな顔で映っていた。
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作者名:綴 | 作成日時:2023年10月28日 23時