#JOC ページ18
Taich side
12月に入り、少しずつ雪の降る日が増えてきた。ジャージの上からモッズコートを着て防寒対策はバッチリだ。
今日から俺はJOCの都道府県対抗の試合に行く。
Aは、図書館へ行くついでと言って駅の近くまで見送りに来ている。
もう駅に着く頃で、ふと自然と続いていた会話がぷつりと切れた。
かと思えば、急にAが立ち止まった。
「ねぇ太一」
「ん〜?」
どうした?と思いAを見ると、俯いていた顔を上げ、真剣な顔付きを見せる。
「がんばってね、わたし応援してるから」
「あぁ……Aも頑張れよ」
白い息を吐いたAに、背を向けた。
(優勝して、ベストリベロ賞取ってやる……)
愛知県代表の集合場所には既に人が集まっていた。
全国都道府県対抗中学バレーボール大会―――四日間、大阪の体育館で開催される大会だ。
今日は大会の開催前日で、大阪へバスで行く。
大会日程としては、初日は一時間の練習とミーティング。試合があるのは二日目の予選からで、三日目には決勝トーナメント、四日目に決勝と準決勝がある。
愛知県選抜メンバーは12人で全員三年生だ。
県代表となると普段から一緒に過ごしているわけではないので、少なからず固い雰囲気になるものだろうが、前にあった合宿の時のメンバーと変わらないのもあり、かなり仲が良い。
特にレギュラー陣は。
というのもレギュラーは全員、進路が星城高校と一緒なのだ。
全員入学は確定しているので、今のうちから仲良くしておいて損はないし、合宿の時にかなり仲良くなったものだ。
そのレギュラーというのが、ウィングスパイカーは石川と山崎、セッターが中根で、
俺はレギュラーと言われると微妙である。
同じポジションの滝沢という奴も上手く、県代表の試合では割とよくチェンジしているのだ。
三時間近くバスに揺られ、大阪へやってきた。
今日は移動だけらしく、宿泊施設に入りご飯を食べると、後は身体を休めてくれと言われた。
宿泊施設は6人1部屋で、俺はレギュラー陣と同じ部屋となったので、少し胸を撫で下ろした。
____がんばってね、わたし応援してるから
勝ちたい。後悔したくない。
そんな思いが溢れてくる。
そうだよな、と頬を叩いて気合いを入れる。
(頑張ろう)
身体を休めろと言われたので、みんなで軽いランニングだけして風呂に入り、監督とミーティングしてその日は終わった。
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作者名:綴 | 作成日時:2023年10月28日 23時