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#Practice Game ページ17

11月に入り、もう肌寒い時期となってきた。

えぇ!?と驚く声が体育館からあがる。

「明日矢作中との練習試合なの!?」

「ああ、言ってなかったか?」

「聞いてないよ!えぇ見に行きたい…」

「来ればいいだろ」

「そーだよ三年も出るから、石川見れるじゃん」

「うーん…でも勉強しないといけないし……」

「あぁ、第一志望、県立だってな」

志望校は、近所の県立高校ではなく、他の県立高校へと変更した。
バレー部が県立ではトップな上にそこそこの偏差値がある文武両道として有名なところだ。

そのゆえか人気も高く倍率が高いのが難だが。

第二希望に太一と同じ星城高校で、今のバレー部の二年生は女子の選手層も厚く、期待が高い高校である。

「まぁもう11月なんだし、勉強しろよ」

「うん…」

だよね、と思い俯くと太一ははぁとため息をついた。

「一応言っておくが、練習試合は10時からだ」

「うん!」



図書館行く前に少しだけと学校の体育館に寄る。

まだ試合開始前で、両チームともコートに入りウォーミングアップをしていた。

体育館の隅でバレーボールを抱えて頬を膨らませ、不服そうな女の子が視界に入る。

わたしは気になって話しかけた。

「どうかしたの?」

「おにいちゃん……」

もしかして、お兄ちゃんがいなくて寂しがっているのだろうか。

「よかったら、一緒に試合見ない?」

「うん!」
(この子かわいい……)

試合のホイッスルが体育館に鳴り響く。

「そういえば名前……」
なんていうの、と聞こうとしたが、真剣に試合を見ていたのでやめた。

公式試合のような緊張感があるのは、新人戦に向けたものなのかもしれない。
先輩の実力をぶつけ、より後輩を成長させたいのだろう。

その証拠に両チーム三年生は二人だけで、何回も二年生と交代している。
ちなみに三年生は久方はキャプテンの佐藤くんに太一。矢作は石川くんとセッターの中根くんだ。

結局、第一セットは矢作が取った。

とそこで自然と体育館の時計に目が映り重要な用事を思い出した。
「あ、図書館行かなきゃ!」

(もうすぐ本番なのに…)
第一セットだけだが、石川くんも太一も見れたし満足だ。

「あれ、おねぇちゃん、まだおわってないよ?」

「ごめんね、わたしもう行かなきゃなの」

「そっか……またね」

「うん」

この子の笑顔が可愛くて気づけば頭を撫でていた。


(また会えますように……)

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作者名: | 作成日時:2023年10月28日 23時

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