君の背中に憧れて (ページ15)

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#Motive ページ15

家に帰ると、珍しく親が先に帰ってきていた。
いつも仕事で忙しく、夜遅くに返ってくる。

「A、そろそろ進路希望だすでしょう？どうするの、県立でいいの？」

「それが、実は迷ってて」

「どこと？」

「うーん…バレー部のある高校？」

そう返すと、「そこまでバレーが好きなのね」と言ってお母さんはクスッと笑った。

「バレーが好き……？わたしが？」

「あなた以外誰がいるのよ」

わたしはバレーが好き、なのだろうか。

――――――…Aはさ、なんでバレーしてるの？

なら、その質問に素早く答えられなかったのは、なぜだろうか。

「たしかにわたしはバレーが好き、かも」

「どうしてそんなに疑問に持つのよ。バレーで高校を迷ってるくらいなのに」

少し躊躇いを見せたわたしに、母は首を傾げた。

「ある選手に憧れてバレーを始めて…………なんでバレーやってるのって聞かれて、答えられなかったんだよね」

「どうしてバレーをしているか、分からないってこと？」

「そうなの」

うーんと唸り、よくわからないけど、とお母さんは言葉を紡いだ。

「バレーをする理由は、好きだからってだけで良くない？」

その言葉に顔をハッと上げる。

(…そっか、そうだよね)

「わたし、太一のところ行ってくる！」