#Course ページ14
10月に入り、あたりの木々は紅葉し始めた。
ホームルームの時に教室で先生がプリントを配る。
「これ進路希望調査書だ。提出は再来週だが、早めに出すように」
はーい、と生徒たちは返事をする。
「じゃあ号令」
日直が号令をかけて、次々と帰っていった。
はぁ、とわたしはため息をついた。
(どうしよう……)
進路に少し悩んでいるのだ。
元々近くの県立高校(そこそこの偏差値)に行こうと思っていたのだが、そこは女子バレー部がない。
今頭の中のほとんどがバレーで埋まっているわたしにとってそれは重大な問題だ。
新しく部を創部しても簡単には人数は集まらないだろう。
だから、志望校を変更しようかなんて考えている。
だからといってバレーの強豪に行きたいかと言われれば違う気もする。
「Aは進路決まったの？」
「うーん…近所の県立じゃないかな」
「そっか」
「太一は？」
「俺は星城のスポーツ推薦」
「あーやっぱり？」
県代表にも選ばれているしそりゃ推薦貰えるか、と納得した。
「まあAは頭良いから県立受かるだろ」
「それなんだけどさ、実は、その迷ってて」
「え？」
「ほらあそこ、バレー部ないじゃん。だから、バレー部のある所に行きたい……かなぁ、なんて」
俯いていた顔を上げて、太一の顔を見ると、口元の笑みが消えていた。
「…Aはさ、なんでバレーしてるの？」
笑って揶揄っていた太一の顔が真剣な顔付きになる。
唐突な質問に驚き、「え、」と声を上げた。
「石川に憧れてバレーして、石川みたいに強くなりたいって思ってるの？」
「それは、」
わたしは言葉が詰まる。
なんだか難しいことを言われている気がする。
たしかにわたしは石川くんを見て、バレーを始めようと思ったけど、今はバレー自体が好きで、。
頭の中で言葉を纏めようとしていると、太一はボソッと呟いた。
「やっぱ石川なんだ」
ボソッと呟いた太一の低い声に、目を見開いた。
「…どうしたの？今日の太一、なんかおかしいよ」
太一は空笑いをして、
「たしかに、俺おかしいかも…。先帰るわ」
そう言い足早に帰ってしまった。
「…………」
わたしは何とも言えずに、太一の後ろ姿をぼーっと見つめていた。
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作者名：綴 | 作成日時：2023年10月28日 23時
