乃木双葉は勇者であるｰｰ鷲尾須美の章･弐ｰｰ (ページ23)

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4話ページ23

須美side

須美「あれ？ふたっち…」

園子「あっ、本当だ～」

そのっちが手を振ろうとしているのを制し、前方で何やら柄の悪そうな男子高校生数人と揉めている

須美「…助けないと！」

ふたっちの元へ駆けて行こうとするが、そのっちに腕を掴まれ止められた

｢どうして？｣と目で訴え掛けると何処か納得したように眉を潜めて微笑んだ

園子「大丈夫だよ、お姉ちゃん風紀委員モードになるとキャラ変わるらしいんよ～…」

須美「えっと…、それは何処情報…なの？」

園子「お姉ちゃんと同じ学校行ったお友達情報～」

…信憑性がありすぎるわ！

あまり拝見出来ないふたっちの意外な一面が見られそうな予感…

ふたっちには申し訳ないけど、興味本位で"風紀委員モード"のふたっちとはどんな物か遠目で見守らせて貰う事にした

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時間は電車を降りる所まで巻き戻る

約束の10分前に集合場所に到着してしまった私は、携帯を取り出し銀に教えて貰った今流行りのゲームアプリを開く

衣替え期間が終わり冬服を着用しているが、少し蒸し暑い

まだ残暑は続きそうだが、暦の上では秋の為かイネス周辺の木々も紅葉し始めている

勿論、私の通う讃州中学の木々も紅葉し始めているが街路樹とは規模が違う為、秋の空気を十分に堪能させてくれる

秋の風に吹かれながら携帯ゲームで時間を潰し待っていると、残念な事に頭の悪そうな男の人達に絡まれてしまった

「お？お嬢ちゃん1人？今からカラオケ行くんだけどよぉ、俺らとどうよ？」

双葉『いえ、結構です』

「連れねぇな～、良いだろ？ちょっとぐらい…な？」

そう言って私の肩に汚らわしい手を置こうとするボス猿風の男の手を払う

呆れて溜め息が出てしまうのは許して欲しい

双葉『御誘いは嬉しいですけど、ごめんなさい。既に先約が居まして…』

そう言い申し訳なさそうな顔で軽く会釈をする

馬鹿そうでも一応年上みたいだし、敬意は払ってあげなきゃね？

だが｢いーじゃん、いーじゃん｣の一点張りでろくに会話も出来ない

｢ええ｣と言葉を繋げようとすると馬鹿な男達は｢やっとか…！｣と言う顔で見合せ、それに私も微かに笑みが溢れる

本当に馬鹿ね…

双葉『生憎私(わたくし)、貴方達には興味の欠片もありませんの。残念ですね？』

そう言うと何故か殴り掛かる勢いで｢こいつ…！ちょっと顔が良いからってちょーし乗りやがって｣とか意味不明な事を言う猿達の間から、待ち合わせをしている2人の姿が見えた