乃木双葉は勇者であるｰｰ鷲尾須美の章･弐ｰｰ (ページ22)

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3話ページ22

須美side

そのっちと共に教室の扉付近に立ち尽くしていると、何かを隠すように覆っていた級友が移動し始め、その隙間から綺麗にレイアウトされた文字が見え隠れする

移動が終わったのか級友が立ち止まると、その文字が露になった

【わたしたちの勇者がんばれ】

そう書かれた横断幕を広げ、級友が私達を迎える

「先生達に内緒で作ってたの」

「この間はその…ごめん」

溜め息を吐くと教室の中に足を踏み入れ、横断幕を広げている級友の元へ歩みを進めた

須美「こう言う事は禁止されてる筈でしょ？｣

後を追うように入室したそのっちは私の少し後ろで立ち止まった

「でも他に思いつかなくて…」

「銀ちゃんのこと、2人の事も考えずに質問攻めしちゃったから…」

「鷲尾さんも乃木さんも私達よりずっと辛いはずなのに…」

「皆で考えてどうしても謝りたくて！」

綺麗に折り畳まれた横断幕を級友の1人が代表して差し出した

その横断幕を両手で受け取り、困ったように眉を潜めた

須美「…これは、先生には絶対内緒にしておかないと」

ぎゅっと横断幕を強く握り締め、｢でも｣と言葉を続ける

須美「…ありがとう、本当に」

はみかみながらそう言うと、級友の表情が一気に明るくなった

「ね、お役目っていつか終わるんでしょ？」

「そしたら普通に一緒に遊べるんだよね！」

須美「え？…ええ｣

微笑みながら肯定すると、級友から歓喜の声が上がる

「私、鷲尾さんともっとお友達になりたかったの」

「サンチョ可愛いね！」

一度そのっちと顔を見合せ、級友の方に顔を向け微笑み掛けた

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園子side

1日の授業もあっという間に終わり、楽しみにしていた放課後がやって来た

今日はお姉ちゃんの部活がお休みの為、何処か遊びに行こうと言う事になっていたのだ

まあ、私が言い出しっぺだけどね～♪

わっしーと一緒に、イネスのすぐ近くにある街路樹を歩いている

お姉ちゃんとの待ち合わせ場所へ向かう為だ

園子「カボチャだ、カボチャだ～！外国のお祭りだ～！」

キョロキョロと辺りを見渡すと、至る所に魔女の帽子を被ったカボチャのランタンが街路樹に沿って並んでいた

時期も時期でハロウィンが近いのだ

須美「我が国の懐(ふところ)の広さよね」

そう言うわっしーの方に目線をずらし、低い姿勢から見上げる

園子「色んなお祭りが楽しめるよね～」

わっしーは静かに微笑み、｢ええ｣と言った事に少し目を見開いて驚いてしまった