乃木双葉は勇者であるｰｰ鷲尾須美の章･弐ｰｰ (ページ16)

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10話ページ16

稽古をつけて貰っているのは大きく分けて華道、武道の2つ

華道は白羽家(飛鳥)に教えて貰っており、武道はと言っても、薙刀と弓道を主に教えて貰っている

小学校高学年ぐらいの時に剣道と鎖鎌術を少し教えて貰った事があるが、銃の使い方は1回も教えて貰っていない

だから、ここはわっしーに任せた方が最適解だと思う

－－

須美side

園子「わっしーどうするの？」

不安そうに私を見るそのっちに優しく声を掛ける

須美「落ち着いて、呼吸を正して…」

そのっちが｢うん｣と頷き、下に向けていた銃を構える

須美「ライフルの癖は見てたわ。調整は任せて」

狙いを定め、標的(鳥のぬいぐるみ)に銃口を向ける

須美「吸気、呼気、標準集中……」

園子「集中…」

須美「力は入れず指は絞るように…」

言われた通りゆっくりと引き金を引いているのを横目で確認すると、タイミングを見計らい｢…今！｣と合図を送る

ﾎﾟｺﾝ

標的(鳥のぬいぐるみ)の中心に弾が当たり、僅かに後ろに傾く

双葉『あとは気合ね！』

後方で射的が終わるのを待っていたふたっちが私達の隣に来てそう言うと、念を込めるようにして手を伸ばす

須美「えぇ！」

園子「気合～！」

3人の気合が伝わったのか否か、目的である鳥のぬいぐるみが台から落ちた

－－

園子「わ～、やったやった！鳥さんゲット～！」

隣で喜びに浸り、1人お祭り騒ぎをしている園子を微笑ましく横目で見る

双葉『良かったね、園子』

そう言うと園子は足を止め、満面の笑みで頷いた

「何てこった…こんなのコルク弾で倒せるわけないのに…」

双葉『それはどういう意味ですか？』

聞き捨てならぬ台詞が聞こえて来て思わずそう問いかけると、慌てた様子でぬいぐるみをこちらに手渡した

「あいよ、持ってきな嬢ちゃん」

店員さんから鳥さんを貰った園子が、わっしーに向き直り｢わっしーやったね！｣と御礼紛いな事を言うと年相応の可愛らしい笑顔が返ってきた

須美「得意分野だから！でも引き金を引いたのは貴方よ。それは貴方の物」

鳥さんのぬいぐるみをまじまじと見詰めている園子を横目に｢ねぇ、わっしー｣と呼び掛け、少し気になった事を聞いてみた

双葉『…銃と弓の感覚って似ているの？』

須美「そうね、標準を合わせるのはどちらも同じだから似てると言えば似てるわね」

やっぱりそうなんだ…

小首を傾げて不思議そうにこちらを見ているわっしーに微笑んで｢ありがとう｣と御礼を言う