乃木双葉は勇者であるｰｰ鷲尾須美の章･弐ｰｰ (ページ25)

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6話ページ25

帽子から顔を覗かせた精霊に、他の御客様の迷惑にならないように小声で叱る

園子「こら、出てきちゃダメだよセバスチャン」

須美「せばあ…？」

園子「烏･セバスチャン･天狗。お姉ちゃんと一緒にミドルネーム付けてみたんだ～」

パーティー用の眼鏡をして説明を終えると、パチンと指を鳴らし烏天狗は帽子から姿を消した

｢鳩(･)を出す芸ではなくて精霊(･･)を出す芸の間違いじゃ…｣と思ったのは私だけではない筈…

須美「…ふたっちも？」

そんな事を考えていたら、わっしーに声を掛けられた

先程の話の内容から推測するとミドルネームの件だろう

園子には何回も説明した筈なのになぁ…

双葉『私のはミドルネームじゃなくて呼ぶ時不便だから渾名を付けたの、渾名を！』

最後の｢渾名｣の所を強調し、園子を横目で見る

須美「因みにその渾名と言うのは…？」

双葉『虎丸(とらまる)…』

そう言い終わると、パタパタと翼を広げ鳥が飛んでいるような音がした

不審に思った園子が横を見ると、消えた筈の烏天狗がカボチャのマスクを被って再登場した

園子「もう！また勝手に出てきちゃダメだよ～」

須美「神樹様が遣わせた精霊…この子達がね～？」

烏天狗(精霊)を見詰めながら、そう不安の声を漏らすわっしーに少なからず共感を覚える

だか、その考えはすぐに振り払った

園子「きっと見た目と違って、その力は真に恐ろしいんだよ！」

双葉『ほら、綺麗な花にも棘があるみたいな感じ？』

須美「だと良いんだけど…」

「ママ！カボチャがお空飛んでるよ！」

「え？あら本当…！」

親子の会話が耳に入りビクッと肩を揺らす

わっしーに目で｢どうする？｣と訴え掛けると、親子の方を向いて咄嗟に両手をぐるぐる回した

須美「ア、アルファ波で浮かんでいます」

「え、スゲー！」

園子「わっしースゲェ～！」

感心したように身を乗り出し呑気にそんな事を言う園子に、少し怒気を含めた声色で言う

双葉･須美『｢早く仕舞いなさい！｣』

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その後、恒例のイネスのジェラートを食べにフードコートへ来ると、早速注文をする

店頭で商品(ジェラート)を受け取ると空いている席に腰掛けて、専用スプーンで一掬いして食べ始めた

須美「醤油豆味はやっぱり私の中でピンと来ないわねぇ～」

そう隣に座っているわっしーが言うと、わっしーの向かいに座っていた園子が苦笑しながらも｢ミノさんに怒られるよ｣と注意を促した