乃木双葉は勇者であるｰｰ鷲尾須美の章･弐ｰｰ (ページ3)

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13話ページ3

ﾊﾟｼｭｯ

中々、隙を見つけられず苦戦していた蠍型のバーテックスに向けてわっしーが矢を放ち援護する

一瞬、隙が出来たのを見逃さなかった

双葉『…園子』

園子「そこっ！」

矢が刺さった部分を重点的に攻撃した途端、バーテックスがグラッと後ろに倒れる形で体制を崩した

＿＿優勢だわ、このまま押し切る…！

そう思っていた矢先の出来事だった

いきなり雨のように大量の矢が後方から飛んで来るのが見えた

銀「やべぇ…」

須美「不味い！」

敵の奇襲攻撃に素早く反応した園子は、槍を展開させて防御を固めた

園子「皆…！こっち！」

遠くの方で対峙していた2人を呼び、危機一髪で滑り込むように傘の下に入り、直撃を免れる事が出来た

双葉『何よこれ…』

"もし直撃していたら、即死だったかもしれない"と嫌な考えが頭を過る

安心したのも束の間

先程、奇襲攻撃をしたバーテックスが放った矢を纏った尾がこちらに一直線に向かってくる

咄嗟の出来事に反応出来なかった私達3人は大怪我を負って吹き飛ばされた

その衝撃で口から血を吐いてしまう

休む余裕すら与えないかのように、また尾を使って追い打ちを掛けるようにして地面に叩き落とされる

－－

須美side

「大丈夫か？！園子、須美、双葉！」

はっきりしない意識の中、焦ったように私達の名前を呼ぶ声が聞こえる

その正体が銀の声だと気付くと、微かに片目だけ開き、矢を放ったであろう敵を捉える

須美「アイツが矢を…」

－－

ガキンと金属が擦れる音がして、戦闘中だった事を思い出し目を開く

そこには私達を守るように敵の攻撃を防ぐ銀の姿があった

良かった…無事で……

隣を見ると、傷口から血が垂れている園子とわっしーが居た

わっしーは微かに目を開いていたが、園子は目を開く気配がない

双葉『そ、のこ……』

そう言いながら、園子に手を伸ばした

－－
－－－
銀side

まず、この3人を安全な所に連れて行かないとな

そう思い、奴等(バーテックス)に気付かれないように3人を抱えて動き、アイツら(バーテックス)から離れた所にゆっくりと3人を降ろす

須美「ぎ……ん…」

銀「動けるのはあたし1人。ここは…怖くても頑張り所だろ！」

己を鼓舞するようにそう言って、立ち上がる

銀「あたしに任せて、須美達は休んどいて」

手を上げ、いつも通り笑って別れを告げる

銀「…またね！」

後ろを振り返らず、前だけ向いてアイツらの所へ駆けて行った