そんなの私のガラじゃない。 (ページ43)

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胸が痛いから下を向くたびにページ43

Ema「あ…えっと、こちらこそありがとうございました。負けてしまったのは悔しいですが、私達も精一杯楽しめました。でも＿」

そう言ってニヤリと挑戦的な笑みを浮かべて真っ直ぐ私を見詰める深緑色の目と合い、思わず演じるのを忘れて息を呑んだ

Ema「次は負けませんから」

本気、なんだ…

本気でお姉ちゃんを…あの数々の伝説と奇跡を叩き出した小依茉澄を越えようとしてるんだ

もう1つの優勝候補であるCLOWN👑DOLLも打倒小依茉澄を掲げてるけど、どうもそういった実感が沸かなかった

でも、実際に同じような志を持ったアイドルに会ってみると｢絶対に越えてトップアイドルになってやる｣って強い想いがひしひしと伝わって来る

本当どこまで行っても私何かとは大違いだなぁ…

『…うん、私も負けないよ！』

口ではそう言ったけど…何だろう、この気持ち

トレンド独占するぐらい好評だったし勝てて嬉しい筈なのに、どうしてこんなにも息苦しく感じるんだろう…

「ねぇねぇ、この間のこよりんとリリロズのライブバトル見た？」

「見た見た！リリロズもこよりんもマジエグかったよね～。流石、優勝候補！」

「うんうん！特に、こよりんとか入院で一時活動休止してたのにブランク感じさせない所とかもう流石としか言いようがないっ！」

はぁ…

まだ1日が始まったばかりだと言うのに、今日だけで何度目か分からない溜め息を心の中で溢した

理由は冒頭の彼女達の会話からも分かるように、テレビでも学校でもどこを歩いてもずっとこの話題で持ち切りだから

これに尽きる

正直もう耳にタコが出来る程これでもかってぐらい見聞きしてて、うんざりしてる

それに＿

まただ…この感じ

あの時と同じような息苦しさと胸の痛みが私を襲い、それを落ち着かせようと胸に手を当てた

こんなただ苦しくて気持ち悪いだけの感情、今すぐにでも捨て去ってしまいたい所だけど生憎どう処理したら良いのか分からない

でも、それが私の心をぐちゃぐちゃに掻き乱してるのは確かな訳で＿

…本当に厄介でしかない

｢はぁ…｣とまた溜め息を溢す

「小依。元気がないようだが大丈夫か？」

そんな私の溜め息を拾った誰か…声的に男子の声が後ろから聞こえて、急の事で驚いてビクッと肩が揺れる

恐る恐る声がした方を向くと、｢驚かしてすまない｣と申し訳なさそうにシュンと眉を下げて言う青柳君の姿があった

『あ…えっと、大丈夫です。私の方こそ心配かけてごめんなさい…』

冬弥「嫌、気にするな」