そんなの私のガラじゃない。 (ページ31)

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嘘ついてごめんねページ31

瑞希「Aも何かあれば言ってね。ボクで良ければ幾らでも相談乗るからさ」

瑞希ちゃんは優しく微笑みながらそう言った後、｢そ･れ･と｣と人差し指をピンと立てて言葉を続けた

瑞希「早く茉澄ちゃんと仲直りする事！先延ばしにしてても良い事ないからね」

『あはは、仲直りしたいのは山々何だけどね…』

困ったように笑いながらそう言うと、瑞希ちゃんは何処か納得したように｢あ、そっか…｣と声を上げた

瑞希「確か、忙しくてあんまり家に帰って来ないって言ってたね」

瑞希ちゃんが言った通り、姉の事を聞かれるといつも決まってそう答えてる

勿論、近所の人達にも寧々ちゃんにも

姉は多忙で家に帰りたくてもあまり帰って来れず事務所の寮で寝泊まりしてる…と、誰もがそう認識している筈だ

けど、実際はそうじゃない

言葉を続けようとする瑞希ちゃんの言葉を遮り、｢ううん、そうじゃないの｣とゆっくり首を振った

『姉は…小依茉澄は、もう居ないんだ…』

そんな私の思いがけない発言に、瑞希ちゃんは｢え…？｣と素っ頓狂な声を漏らして目を見開いた

世間ではライブ会場へ向かう道中で交通事故に遭ってしまい急遽入院の為、活動休止を余儀なくされたと報じられている

だが、実際の所はあの事故で姉は既に帰らぬ人になってしまった

だから、帰って来られないんじゃなくてもう二度と帰って来ないと言った方が正しいのかもしれない

瑞希「え、ちょっと待って。じゃあ今、DIVAグランプリとかに出てる"茉澄ちゃん"って…」

『…うん。私』

驚きを隠せずにいる瑞希ちゃんとは対照的に、神代先輩はどこか納得したような表情をしていた

そんな神代先輩を見て、瑞希ちゃんも同じような事を思っていたみたい

瑞希「え、類は知ってたの？」

類「まぁ、何となくではあったけどね。でも、流石にお姉さんの事までは知らなかったよ」

そう言って｢そろそろお暇しようかな｣と椅子から立ち上がる神代先輩を、｢あの…！｣と上擦った声で引き止めた

『いつから御存知だったんですか？私が、その…姉の代わりにステージに立ってるって…』

類「司くんに勧められて、お姉さんのライブ映像を改めて見させて貰った時ぐらいかな」

そんなに前から…

類「君は良く親指を包み込むようにして拳を作っているだろう？それがステージ上でも見えたからね」

『あ、本当だ…』

実際に拳を握り自分の手を見ると、さっき神代先輩が言った通りの型で握っていた

…次のライブまでに直しておかないと