そんなの私のガラじゃない。 (ページ29)

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誰もが痛みを抱えているページ29

瑞希side

瑞希「はい、これ鞄ね。一応確認しといた方が良いかも」

『うん、ありがとう瑞希ちゃん』

鞄を受け取って中身を確認するAを見ながら思い出すのは、さっき類がここまで運んで来る際に呟いていた言葉の数々

『やらないと…』
『私が完璧に、やりきらないと…いけないの…』

あれは紛れもなく本音だった

何がそんなにAを追い詰めてるのかは分からないけど、もしボクに出来る事があるなら少しでも力になりたい

これまでも休憩を忘れて練習に没頭する事は度々あったけど、最近それがやけに多く感じる

このままだと冗談抜きで、いつか近いうちに身体を壊してしまいそうなくらい

出来る事って言っても限られてるけど、それでもボクは＿

…何て、未だに何も伝えられてないボクが言えた事じゃないか

『瑞希ちゃん…？』

瑞希「ん？どうかした？」

何となくあの時の絵名の事を思い出してると、Aが心配そうに顔を覗かせてボクの名前を呼んだ

瑞希「もしかして何か足りなかった？」

何ともないようにいつも通りを装ってそう聞くと、Aは｢ううん｣と首を横に振る

『何か瑞希ちゃん、元気ないような気がしたから。どうしたのかなって…』

…あーあ、心配するつもりが逆に心配されちゃってるじゃん

いつもみたいに誤魔化そうとするものの、何故かそれが出来なかった

瑞希「ねぇ、A」

今にも震えそうな声を必死に隠すようにして言葉を続ける

瑞希「ボクの話、聞いてくれる？」

『うん』

本当は怖くて堪らない

これまでの事を思い出しては、今でも話すのを躊躇ってるぐらいだ

まぁ、Aと同じくらいボクの事も結構噂になってたから既に知ってるとは思うけど、やっぱりボクの口から言わないと意味がない気がする

偶々屋上で知り会っただけの仲だけど、ボクもAの事が知りたいし、ボクの事も知ってて欲しい

まぁ、無理に理解して欲しいとは言わないけど取り敢えず聞いて欲しいって思うんだ

それに、Aも少しは話しやすくなるんじゃないか…何て

いつまでも逃げてばかりじゃダメだ

ニーゴの皆に…ボクの事を待ってくれるって言ってくれた絵名に伝える練習だと思って、Aにもちゃんと伝えよう

そうじゃないと本当の意味で"友達"何て呼べないし、ちゃんとボクの事を友達だって思ってくれてる人に失礼じゃないか

だから、勇気を出さないと

そんな事を思いながら深呼吸をした後、勇気を出してゆっくりと口を開く

瑞希「実はね、ボク＿」