そんなの私のガラじゃない。 (ページ20)

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月のように照らしたい人知れずでもページ20

ライブの演出の案を出す度、姉は興奮したように目をキラキラ輝かせて｢良いじゃん！楽しそう！｣とか言ってくれたりはしたけど、やっぱり第三者目線から言われるのは違う

それに、お世辞でもあんなに凄い演出を手掛ける神代先輩からこんな風に褒められるのは素直に嬉しい…

類「おや…もしかして、あの演出は小依くんが手掛けたのかい？」

相当顔が緩んでいたのか、神代先輩からそんな事を聞かれ｢え、あ…まぁ…｣と曖昧に頷いて答えた

『あ、でも私…姉の意見と披露する曲をコンセプトに考えただけなので…』

さっきも言った通り、私の演出は｢こんなライブにしたい！｣と言う姉の意見と曲のコンセプトを元に考えた案で、それが偶々姉の意向で通っただけに過ぎない

寧ろ、神代先輩の演出の方がよっぽど奇想天外で何が起こるか分からないから本当に凄いと思う

まるで、プレゼントを開ける時みたいなドキドキワクワクが味わえるような…そんな感じ

類「お褒めに預かり光栄だね。けれど、小依くんの演出も中々なものだと思うよ」

『え…あ、ありがとうございます…？』

あれ？ちょっと待って

さっき｢お褒めに預かり光栄｣とか言ってたような気がするけど、口に出して神代先輩の事褒めたりしたっけ…？

類「フフ、全部声に出ていたよ」

『あ…』

さっきから色々とやらかし過ぎだろ、私…！

そんな事を自分に言って過ぎた事に頭を抱えていると、頭上から神代先輩の穏やかな声が聞こえた

類「やるかやらないかはその人次第だけど、土台があるからこそ素晴らしい演出をつけられるからね。演出家としては、案を貰えるだけでも十分何だよ」

そう言って微笑む神代先輩は何と言うか、どこか哀愁を帯びているけど心なしか嬉しそうな…そんな感じの表情をしていた

類「それに、僕が手掛けているショーの演出も君が手掛けているライブの演出も、多少は違う部分があるかもしれないけれど根本は…皆を笑顔にしたいという想いは一緒だろう？」

…そう、なのかな

確かに、私がつけた演出で楽しそうにステージでパフォーマンスをする姉や演出に反応して盛り上がる姉のファンの姿を観客席やステージ脇から見るのは好きだった

けど＿

『そう…ですね。ありがとうございます』

それを見る度、やっぱり私と姉は違う世界の存在何だと思い知らされて胸が苦しくなるのもまた事実だったりする

とは言え、演出のエキスパートである神代先輩に私みたいな素人が考案した演出を褒めて貰えたのは凄く嬉しい…