乃木双葉は■■■である (ページ44)

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折角、仲良くして貰っている茅野さんでも引くレベルだろう

そんな事よりも、いつも以上に校舎の方が騒がしいのを感じ不思議に思う

断片的に会話は聞こえるが、何があったのかまでは分からない

丁度、昼食も終わった事だし石段から腰を上げて声がする方に足を向けた

そこには何故か上着を脱いで下着姿になっているイリーナ先生が上着を手に持ち、誰かと向かい話しているのが見えた

もう少し近付き、その相手の姿を見た途端｢えっ…｣と小さく声が漏れた

先程ぶつかってしまった男の人とイリーナ先生の雰囲気が、先生(師匠)と生徒(弟子)の関係そのものに似ていたのだ

「＿必ず殺れよ、イリーナ」

眉を下げ居心地悪そうに俯くイリーナ先生はその一言で、顔を上げて心底ほっとした表情を見せた

イ「勿論です！先生(師匠)！」

「…また会ったな、少し話をしよう」

そう言って目の前に現れたのは、先程ぶつかってしまったイリーナ先生の師匠さんだった

え、もしかして怒られる？

慰謝料請求させられる？

イリーナ先生に助けを求めようとチラリと横目で見る

嬉しさの余り発狂していて使い物にならないなと察し、気付かれないように心の中で溜め息を溢した

双葉『…話とは何ですか？』

「そんなに警戒しなくても良いぞ…乃木家のお嬢様」

"乃木家のお嬢様"

そんな単語が耳に届き、思わず顔を歪める

ここ(東京)でそれを知る者は、殆んどと言って良い程居ないに等しい

向こう(香川)であれば、名家の家柄にある乃木家の出だからと言う事もあり、特別扱いされる事は鬱陶しいぐらい多かった

乃木家だからああだとかこうだとか廊下を歩く度、良く耳にしたものだ

勇者に選ばれてからもそれは変わらず、寧ろ以前より酷くなったかもしれない

でも当時の私は勇者であった事に誇りを持っていた為、それ程気にも留めていなかった

今の所、それらが一切感じないのが何だか凄く新鮮で居心地が良かった

…と言うのに

双葉『…何故それを貴方が存じておりますの？』

イリーナ先生の師匠さんの口から何故その言葉が出て来たのか、不思議でしょうがない

鞄を持つ手に力が入る

「風の噂で耳にしただけだ。誰にも口外するつもりもなければ、口外してないから安心しろ」

双葉『そう、ですか…』

表情が動かない為、正確には分からないが嘘を言っているようには見えなかった

しかし、今の(･･)私の性格上それは逆効果に近い

烏間「何をしている」