月が綺麗ですね。------【黒】 (ページ4)

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［なんでよ、私帰りたいんだけど…］

2軒目への道中、隣を歩くリイナにそっと耳打ちしても、『まぁまぁ』と軽くあしらわれただけ。
いや、休みとは言ったけど、暇とは言ってない！

……いやまぁどうせ暇なんだけどさ！！

2軒目のお店では、4人掛けのテーブル席に座った。
私の隣にリイナ、向かいに松村さん、斜め向かいがジュリさんという配置になった。私と松村さんを逃がさない、とでもいうように、リイナとジュリさんが通路側に座っていた。
お酒が運ばれてきたところで乾杯し、改めて自己紹介する流れに。

『俺はタナカジュリ。字は、普通の田中に、大樹の樹。樹でいいよ。よろしくね、Aちゃん』

そう言ったジュリさんｰｰｰ田中樹さんはさっきと同じ、言葉を選ばずに言うなら“チャラそうな”笑顔で私に笑いかけた。
［よろしく…お願いします］
もちろん私も、さっきと同じ人見知り全開モードで答えた。
『ほら、北斗も』
私の返事を〝んはっ〟って感じの笑い方で流した田中さんにまたもや半ば無理矢理、それでもさっきよりは穏やかな表情で、
「松村北斗。経済学部2年。」
とだけ。

『いや、うん、そうだよね。せっかく喋ってくれたとこ申し訳ないんだけど、経済学部2年は知ってるのよ。ここにいる全員経済学部2年なのよ』

と、田中さんからの的確なツッコミに動じる素振りすら見せず、そのまま焼き鳥を食べ始めた。

……たしかに知ってるわ。