つきあってみた【浦島坂田船】

すき　うらたぬき　　リクエスト ページ14

普段、絶対にすきとは口にしない彼氏。




そもそも、付き合っているけど、すきって言われたことあるか？




そのレベル。




だって確か私が告白して、返事が『しょーがないから、付き合ってやるよ』だった気がする。




仮に私が恥ずかしさを堪えすきって言っても、『うん』『知ってる』『へぇ〜』以上の3パターン。




そもそも、私のことすきなのかな。もしかして、すきな人ができたら、すぐそっちに言っちゃうんじゃないかな。




そんな不安に押しつぶされそうな毎日。




最近は連絡が来るたびに別れ話かと思ってドキっとする。




恋愛的なヤツではなく、恐怖的な。




最初のうちは私もこんなに怯えてなかった。




もっと一生懸命いつか言わせてみせる!!って意気込んで、空回りに空回りを重ねたあげく、今に至る。




今だって、花火大会のお誘いのメールを送ったけど、３日無視。




もう明日だよ、花火。





「…いっそのこと、おれ使ってみる？案外うまくいったりして」





「え〜、今更〜??バレるでしょ、もう」





「意外と古典的な方法のが応えるんやって!!」





「いや、ダメージ食らわせたいんじゃなくて、すきって確証がほしいだけなんだけど…」





何回目かの『うらたさんにすきって言わせよう作戦会議』(命名さかた)。





こうやって、カフェで坂田と２人で、夜な夜な作戦会議。全部失敗に終わってるけど。





「う〜ん、でも花火に罪はないし、いっぺんおれと行ってみよ!!まーしーとかのが良かったら、その辺りも集めてくるけど」





「嫉妬を狙うのは失敗したじゃん。私もう傷つきたくない…」





そう、実は一度坂田と嫉妬作戦を仕掛けているのだが、私ではなく坂田に発動。





まさかの彼女をとられてやきもち、じゃなく、相方取られてやきもちという奇跡が起こった。





その一件でかなりダメージを負ったので避けたいのは山々。





でも、ちらりと見た外に、可愛い女の子と並んで歩く彼の姿を垣間見た。





「最後の、賭けにしようかな…」





「どういうこと？」





「これでダメだったら、別れる。いつまでも独り占めしてちゃダメな気がする」

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