虎視眈々【鬼滅の刃】 (ページ15)

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今日は早く上がらせてもらい、帰り道を歩くも、雪に足を取られ歩けども歩けども一向に進まない。

そんなこんなで苦労して山を登るうちに辺りはとても暗くなってきてしまった。

このまま真っ暗になってしまっては灯りのない山の中では山育ちでも迷ってしまい2度と家に帰れないだろう。

そんな焦る中、着物の前を開いて寒いのも我慢し雪を大股でかき分けながらなんとか進む。

「いたっ、」

どうやら雪の中に埋まっていた木の枝に足を引っ掛けたらしく、細い切り傷から血が滴っている。

じくじくと痛む足を懸命に動かしながら進んでいると、前に誰かいるのが見えた。

父が迎えに来てくれたのだろうか？

こんな山に住んでいるのは私たちくらいだし、何より住人である私でもこんなに苦労する雪山になど他に誰がはいるだろうか。

「お父さん？」

父であると結論づけ、大きな声で呼びかける。

自分の喉がひゅっ、と言う音を立てた。

振り返った姿は優しい父の顔なんかではなく、醜い化物の顔だった。

真っ白な雪の中で良く目立つ鮮紅は、きっと"血"だ。

その化物は私の姿を捉えた瞬間雪をもろともしない速さでこちらへ向かってきた。

次に瞬きした瞬間に映ったのは真っ赤な血だった。