壱 ページ2
「っは‼」
「うわぁ‼大丈夫か…⁇」
突然起き上がった私を心配そうに炭治郎が見る。
周りを見渡す。
綺麗に整えられた部屋で山の様子はない。
「はぁ、はぁ、はぁ」
大量の汗が額を下り、顎先から滴り落ちる。
肺が大量の空気を欲していて、大きく深呼吸しなければ、目の前が霞む。
「どうした、だいぶうなされてたけど…」
そう言って炭治郎は私の肩に手を置いた。
今しがたの歌、情景が鮮明に頭にこびりついているせいで身を強張らせる。
「…大丈夫、少し昔の夢を見ただけ、」
「大丈夫には見えないが…」
「本当に大丈夫、気にしないで本当に」
「じゃあなんで目を合わせてくれないんだ⁇」
顔を覗き込んでくる彼の視線から逃れるように顔を背ける。
「あっれー‼Aちゃんやっと目が覚めたのか‼」
「善逸」
やっと彼の視線が私から善逸くんに移る。
「Aちゃん、2ヶ月も目が覚めなかったんだよぉ、俺心配しちゃったんだから」
そう言って私の手を握ってくる。
「善逸はすぐそうやって…」
そうしてフン。と言いながら握られた手を打って解放した。
「でも、善逸くんは毎日来てくれてたよね。眠ってても声は聞こえてたよ」
「えぇ〜‼俺の声聞こえてたの〜⁉」
「うん、毎日おはなし面白かった、ありがとう」
「どういたしましてぇぇえ〜‼‼」
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作者名:かんな | 作成日時:2019年12月31日 18時