story６ ページ7
『坂田は悪くないよ。私が話を聞こうとしなかったから。ごめんなさい』
「いや、俺があの時追いかけてでも返事してればよかったんよ。そうすれば次の日からも乙川と話せたのに」
『はな、せた？』
「うん。乙川と話すの好きやったから...その日から何となく話せなくなって悲しかったんや」
どうしよう、今死んでもいいかもしれない()
そんなふうに坂田が思ってくれてると思わなかった。
逃げた私に呆れたのかもとか考えて、怖がって近づけなかった私が馬鹿だったよ。
『あ、あのさ』
でも今なら。あの時の返事が...。
『あの時、なんて言おうとしてたの...？』
聞けるかもしれない。
「あ、あの時は『ごめん。俺そ...」
＿＿ガラッ
「坂田ー？」
坂田の話をドアの音が遮った。1番聞きたかった所！聞けなかった。
「あれ？うらさん！」
「お前もう授業始まるぞ？まだ乙川さん目覚めない...あ。覚めてた」
入ってきたのは浦田くんだ。
坂田は浦田くんを見るなり犬のようにはしゃいでいる。耳としっぽが見える...。
確かに人懐っこい性格だけどここまで坂田が懐いてるのは初めて見たかも。
「...乙川さん。良かったね目が覚めて」
『え！あ、うん。ありがとう』
「あ、二人同じクラスやな！喋ったことあるん？」
『喋ったこと...』
初めて喋ったのは昨日だ。しかもあれは坂田にも言わない方がいいのかもしれないし...。
『ないよ』
「あれ、そうなん？乙川もうらさんもいい人やから仲良くなれると思うで〜」
ニカッという効果音が聞こえるような笑顔で坂田は言った。
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作者名：のんちゃん | 作成日時：2018年7月15日 3時
