story１ ページ2
一年前の春、入学してから好きだった相手に告白をした。
彼は凄く人気で、私なんかが簡単に近づけるような相手ではないけど。
それでも少しずつ仲良くなって、沢山話せるようになった。
もしかしたらクラス替えで別々のクラスになるかもしれないから。
勇気を出すのは今しかないから。
そんなふうに自分を励ましながら...。
＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿
「突然どしたん？乙川から呼び出されるなんて初めてやな〜」
『と、突然呼び出してごめんね！』
「別にええで〜？もしかしてこの前貸した教科書返してとか？あれ家に置いてきちゃった」
『あ、それはまた今度でいいんだけどね。それとは別で...』
「ん〜あ！もしかして...告白とか？」
からかうように笑った彼の顔が今でも忘れられない。
『っ！！』
「なーんてな、冗談やで〜。乙川は好きなやつとかいなさそうやし」
『...じゃあ、好きだって言ったら？』
「え？」
彼は目を丸く開いて私を見た。
自分でもこんなにあっさり言えてしまうと思ってなくて、内心少し慌ててしまっている。
だけどもうあとにはひけないから、勇気を出すしかない。
『す、好きなの！坂田のことが...ずっと前から...！』
「...」
無言の状況に耐えられるなくなってきた時に彼が一言言ったのだ。
「えっと、ごめん、俺」
それだけ聞いて、もう振られるんだと察した。
そこで私は耐えられなくなって
『そうだよね、ごめん。変な事言って！わ、私帰るね！またあした！』
そう言って走り去ってしまった。
今思えば馬鹿だった、まだ坂田は話の続きだったのに、もしかしたら振られた訳では無いかもしれなかったのに...いやそれはないかな。
けれどあの時は耐えられなかった。
そんな一年前の苦い思い出＿＿。
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作者名：のんちゃん | 作成日時：2018年7月15日 3時
