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" 恋 "


恋愛というものをあまり経験してこなかった
私にはこの感情はなんとも言えないものだった。


こんなに彼が愛おしくなるのも、
彼の声が聞きたくなるのも、
もっと彼を知りたいって思ってしまうのも、


全部、全部、魅力的な貴方のせい。


クシャっと笑うその目尻とか、
貴方からほんのり香る甘い匂いとか、


見る人全てをトリコにしてしまう貴方。




私の恋は、届きますか___?



紫「ーーい!おーい!」


「ぁっ、ぇ…っ何!?」


紫「何ぼーっとしてんの?考え事?」


「あ、ううん、何でもない!
………、あの〜、ちょっと寝不足でさ!」


咄嗟に口からでた嘘。


ううん、寝不足なんかじゃない。
……………貴方のことで頭がいっぱいなんだよ。



紫「そうなの?最近忙しそうだもんね、
……じゃあ、次まで時間あるし、寝る?」


「…………ぇ?」


紫「ほら、おいで」


…………お、おいで、、?


近くにあったソファに腰掛け、自分の隣をポンポン
叩く彼は、何を考えているのかさっぱり分からない。


「ぇ、?紫耀くん?」


紫「何?寝不足なんでしょ?
俺もちょっと寝たいし、ここおいでよ」


キョトンと首をかしげて私を見つめる彼。

彼の中には " 距離感 " という概念がないのだろうか。


私たちの関係は、ただの仕事仲間。
決して近づくことは許されない、そんな関係。


………その距離を縮める勇気は私にはまだない。


そんな私の気持ちにズカズカと入り込んでくる彼は、
間違いなく私にとって非日常であって。


「………ちょっと、だけだよ、」


彼の問いかけを突き放せないのは、とっくに
分かってるくせに。
嘆いた瞬間彼はニコッと笑って、私の手をぐいっと
引っ張った。


楽屋の大きなソファ。
2人、別々にだって寝れるのに。


この距離にどうしてもドキドキしてしまう自分の
心臓をコントロールできないのが恥ずかしかった。


私が紫耀くんの隣に座ると、" 遠い "なんて
言ってぐいっと体を寄せてくるものだから嫌でも心が
反応してしまう。


紫「頭、ここ。」


人差し指で自分の肩を叩く。

特に文句も言わず、素直な頭を預けるとその上に
感じたずっしり重い感覚。


紫「……おやすみ、」


ほら、またそうやって貴方は私の心を掴んで離さない。
ずるいな、ほんと。


さらさらと私の頭を撫でるその手は暖かく、
熱を帯びていた。


もう、とっくに私は貴方のトリコだよ。






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作者名:憂流。 | 作成日時:2024年1月3日 13時

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