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" 共演者やスタッフには、恋愛感情を抱かない。 "
これがこの業界の掟のようなもの。
それでも、俳優同士で交際を発表し、その後結婚。
芸能きってのおしどり夫婦として活躍。
そんなありきたりな流れになる人たちも大勢いる。
…でも、そんなのになれないことなんてわかってる。
むしろ、わかりすぎて辛い。
なにしろ、相手はアイドル。
簡単に好きになっていい相手じゃないし、
こんなことを考えてはいけない相手なんて事も
十分わかってる。
でも、自分の気持ちには嘘はつけない。
例え、相手がどんな人であろうと、
…………私は、彼が好き___。
ディ「はい!じゃあ、次のカットAちゃん準備〜」
「あ、はい!」
ドラマの撮影現場。
楽屋で1人ペットボトルのお茶を飲むには広すぎる。それとなく、寂しい。
ぼーっと考えていると、ディレクターからの合図。
イスから立ち上がり、サッと衣装のシワを払って、
小走りで楽屋をでた。セットはアパレルの会社。
業務のファイルやたくさんのマネキン。
このセットを準備してくれた人のことを思うと、
精一杯の作品を届けなければ。と胸が引き締まる。
ふと、カメラマンの方を見ると、
カ「やっぱり紫耀くん、スーツ似合うね〜
でも、あれ……?ズボン、破けそうじゃない?笑」
紫「もうやめてくださいそのノリ〜笑
こうなりたくてなってるんじゃないんですから!」
カメラマンと楽しそうに話す彼。
ついこの間までは金髪だったのに、役作りで
黒髪になった彼は前よりぐんと色気が増した。
カ「、あ!Aちゃん!今ちょっと休憩時間だから
話そうよ!」
「へっ!あ、はい!」
急に振られたもんだから、自分でも分かるような
間抜けな声がでた。
紫「なにその声笑めっちゃ裏返ってたよ笑」
はいっ⤴︎ って感じ笑、って私の真似をするもの
だから、どうしても心臓が鳴り止まない。
「やめてよ!笑 急だからびっくりしたの!」
精一杯平気なふりをするけど、なんとなくわかる
ぎこちなさ。
演技の仕事をやっているのに、こういう誤魔化しが
下手だと自分でも気分が少し沈む。
気づけばカメラマンはいなくなってきて、
セットの中には私と紫耀くんだけ。
紫「すごいよね、このセット。」
「うん、それ思った!」
紫「これとかさ〜、Aに似合う!」
なんて、マネキン指差して笑う彼はどこまでも愛おしい。
それにふっと笑みをこぼしてしまう私も重症かも。
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作者名:憂流。 | 作成日時:2024年1月3日 13時