検索窓
今日:10 hit、昨日:0 hit、合計:20,616 hit

よんじゅうはち ページ2

「はい。コップ勝手にとっちゃってごめん」

「だいじょぶ、ありがとう」

そらるさんが手渡してくれたコップにそっと口づけて、冷たいお茶を流し込む。
お茶の冷たさで少しだけ冷静になれた。はず。

「そらるさん、なんで家分かったの」

既に何回も聞いたその問いをまた投げかけるも、
「さぁね」
とごまかされる。

彼のことだ。何かしら伝手があったんだろう。
余計な詮索はしないことにする。

2人とも何も言わない時間が過ぎていく。
1人ですごす時間も嫌いじゃなかったけど、やっぱり皆といる時間の方が好きだなぁ。
お茶を飲み終えてコップを机にことん、とおいたとき、そらるさんが口を開く。

「なんで、どうしてって深くは聞かないけどさ、」

「うん。」

「悲しくて、寂しかった。それだけは知っておいてほしい。」

「急に消えたのはごめん、本当に。」

「いいよ、Aにも考えがあったんでしょ?」

その言葉に僕は首肯した。
悲しい、寂しいって思ってくれてたんだな。僕とおんなじ気持ちを抱いてくれたんだ。
なんだか胸のあたりがぽかぽかと暖かくなった。

それからしばらく僕らはなんでもないような話をした。
生産性なんて皆無。
離れてた2年間の時間を取り戻すかのように話し続けた。
ただひたすらに楽しくて、その時間が心地よかった。



唐突にドアチャイムが鳴り響く。

「嫌な予感がするよそらるさん」

連打されすぎじゃない?うちのドアチャイム。

「ふふっ、行ってきなよ。来客だよ。」

よっこいしょ、とおじさんみたいに声を出して立ち上がる。
なんとなく、モニターの先にいる存在は察している。

「はーい」

「A!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
真冬だよ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」

うるさい。

よんじゅうきゅう→←設定+α



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (49 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
1133人がお気に入り
設定タグ:まふまふ , 男主 , 歌い手
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

ただの阿部担(プロフ) - 今見つけて、一気読みしました!上手く伝えられないんですけど、すごく好きです!その場でジャンプしちゃったくらい好きです。これからも更新頑張ってください! (2021年7月24日 10時) (レス) id: 341728400e (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名: | 作成日時:2021年7月8日 15時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。