98話 ページ49
今呼んだ二ヵ国は"さん"をつけていたけど、直属なのでワイテル国の皆様には"様"をつけていた。
呼び捨てのハードルも敬語無しのハードルもグンと上がるわけで。
大きく息を吸い込んだ。
『なか…む』「んふ、頑張れ」
『…ぶるーく』「いいねぇ」
『シャー、クん』「あい」
『きん、っ…とき』「あは、噛みそうになってる」
『…っ、きりやん…』「そんな必死な顔で言われると面白いんだけど」
チラリ、とスマイル様を見る。
じぃっと見つめられて、若干その紫に期待が浮かんでいて。
なんだか緊張して、はく、と息を飲み込んだ。
『……………スマイル……』
あぁぁ、今の私は顔が真っ赤に違いない。熱い。
「…ありがとう」
ぎゅっと抱き寄せられた。
嬉しさがスマイル様から溢れ出ている。ちゅっと一瞬キスをされて、ますます顔に熱が集まった。
幹部の皆様がふざけてキャーキャー言っている。言っていない人たちは本当に照れて私ほどではないが顔を真っ赤にしている。
『…す、スマイル様、皆様の前ですよ…⁉︎』
「む…スマイル。様、いらない」
『っ、す、スマイル』
「……ん」
満足そうな顔になって、私の肩口にぐりぐりと顔を埋めた。
ただ一人、困惑顔をしているオスマンさん…じゃなかった、オスマン。
『どうかしました…、どうか、した?』
ぁぁぁ敬語も外すとか、難しいよ⁉︎
「そこの二人って…?」
……あ、言ってなかった。やらかしたなこれは。
『…その…お付き合いさせて頂いてます…』
自分の声がどんどん小さくなっていった。あぁ、しかも、また敬語が。
『け、敬語は、つけさせてください…たまに、外しますから…』
皆様に涙目で頼むと、笑って承諾された。
グルッペンが、書類を一枚出して、幹部みんなに見せた。
「来週、A国で世界各国の要人が集められるパーティがあってな。俺はめんどうなので行きたくないんだが、これを欠席するといろいろもっと面倒なことになるので、行かざるを得ない。しかも、だ」
トン、と書類の一箇所に指を置くグルッペン。
「今年はなぜか、幹部全員が招待された。…付き添いで誰かつけたければ、一人につき一人までだと」
げっそりして見える。相当、この手の堅苦しいパーティは嫌いらしい。
「念の為、Aにも来てほしいんだ。そうだな、主にスマイルの護衛で」
……はい?
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らーて - 初コメ失礼します。こんな素敵な作品が読めて僕は幸せです!。続き楽しみにしています。更新頑張ってください。 (2022年8月10日 15時) (レス) id: 50b204a28c (このIDを非表示/違反報告)
涼夏人 - 失礼します。初コメです。この作品、神!神作!続き楽しみにしています。頑張ってください! (2022年8月8日 16時) (レス) @page31 id: 8404a67f98 (このIDを非表示/違反報告)
ふゆ - おかえりなさい!!自分もめっちゃ低くてやばかったです!ゆっくり待ってます!頑張ってください (2022年6月29日 14時) (レス) @page7 id: d3fac2225a (このIDを非表示/違反報告)
天音(プロフ) - おかえりなさい!!僕の方がテストやばかったので安心してください…☆ゆっくりで大丈夫なので!!更新待ってます!、 (2022年6月28日 22時) (レス) @page7 id: 511b9233eb (このIDを非表示/違反報告)
すみれいん(プロフ) - おかえりなさい!お話はゆっくりで良いのですのよ!おかえりなさい(о´∀`о) (2022年6月28日 19時) (レス) @page7 id: a715f4eb82 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:らむね☆ | 作成日時:2022年6月12日 11時