62話 ページ13
スマイル様が出て行って少しすると、医務室の扉が開く音がした。
「Aさんって方はここですか〜?」
『あ、はい、入院スペースです!』
聞いたことのない声。
もしかして、と思ってあると、カーテンが開いて狐っぽいお面をつけた人が入ってきた。
「初めまして、クラレです」
『初めまして』
やはり、この人がクラレ先生だ。
ぺ神さんも計量カップを手に入ってきた。
「今からさっそく薬を飲んでもらおうと思うんだけど、早く治すにはその分体力を消耗しなきゃなんだよね」
ペ神さんがそう言うと、その通りとクラレ先生が大きく頷いて説明してくれる。
「やっぱり、自然の摂理に反して早く治そうとするわけだから、本来自然に治すのに使う体力が一気に使われるわけです。だから、治るまではちょっと疲れやすいかもしれません。それでも大丈夫?」
『はい、大丈夫です』
「安全性には問題ないんで、安心してください」
頑丈そうな鞄をパカっと開き、淡い緑色の液体が入ったフラスコを取り出した。ペ神さんが持ってきた軽量カップを受け取り、それの五分の一くらいまで、液体を目盛りを読みながら入れていく。
「この量を、今日と、明日の今と同じくらいの時間に飲んでもらえれば、早く治りますんで」
手渡された薬を、私はそっと胃に流し込んでいった。
『……、ふぅ、』
「じゃあ、また明日ここに来るので」
飲み終えると、二人は器具を回収してカーテンの向こうに消えていった。
なんとなく、体がだるい気もする。
昼食の時間でーすというロボロさんの声をインカムから聴きながら、そっと目を閉じた。
__
「…あ、起きた」
目が覚めてすぐ、柔らかい声がした。
「夜ご飯、食べられる?」
『はい、食べられます』
だいぶ長いこと寝ていたようだ。…が、まだちょっとだるい。
頭がふわふわする。
「…クラレ先生が、疲れるだけじゃなくて熱も出るかもって言ってたけど、」
『…熱、ですか』
「ん、ちょっといい?」
スマイル様の紫の瞳が寄ってきて、こつんとおでこが当たった。
「んー、やっぱり微熱ある…」
『ぇ、熱、出てますか…?』
「うん、話し方とか態度とか、いつもよりふわふわしてるし…一応、栄養価高いお粥を作ってもらったから、それ食べよう」
手を添えられて上半身を起こすと、くらりと眩暈がした。
本当に、熱出てるんだ。
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らーて - 初コメ失礼します。こんな素敵な作品が読めて僕は幸せです!。続き楽しみにしています。更新頑張ってください。 (2022年8月10日 15時) (レス) id: 50b204a28c (このIDを非表示/違反報告)
涼夏人 - 失礼します。初コメです。この作品、神!神作!続き楽しみにしています。頑張ってください! (2022年8月8日 16時) (レス) @page31 id: 8404a67f98 (このIDを非表示/違反報告)
ふゆ - おかえりなさい!!自分もめっちゃ低くてやばかったです!ゆっくり待ってます!頑張ってください (2022年6月29日 14時) (レス) @page7 id: d3fac2225a (このIDを非表示/違反報告)
天音(プロフ) - おかえりなさい!!僕の方がテストやばかったので安心してください…☆ゆっくりで大丈夫なので!!更新待ってます!、 (2022年6月28日 22時) (レス) @page7 id: 511b9233eb (このIDを非表示/違反報告)
すみれいん(プロフ) - おかえりなさい!お話はゆっくりで良いのですのよ!おかえりなさい(о´∀`о) (2022年6月28日 19時) (レス) @page7 id: a715f4eb82 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:らむね☆ | 作成日時:2022年6月12日 11時